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EUと日本が大枠合意に調印。重要なステップだが、道のりはまだ長い

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鈴木庸一氏&マウロ・ペトリッチオーネ氏:協定の交渉人

鈴木庸一氏&マウロ・ペトリッチオーネ氏:協定の交渉人

2017年7月1日23時。ヨーロッパから来た竜巻が、東京のインターコンチネンタルホテル402号室で吹き荒れる。セシリア・ マルムストローム欧州委員(貿易担当)が、EU加盟国の多様性を象徴するような高級官僚の集まりに飲み込まれてゆく。「ほぼ合意に達しました」と笑顔だ。7月6日、ブリュッセルにて、安倍晋三首相とジャン=クロード・ユンカー欧州委員会委員長が、10年来の懸案だった経済連携協定(EPA)の調印に合意したとの公式声明を発表。JEFTAの誕生である。すっかり満足したマルムストローム欧州委員は、日本とEUの間には「民主主義、法の支配、開放主義といった共通の価値観」という確固とした共通点があるだけでなく、「欧州と日本の学者は水星探査で協力しましたし、任天堂の世界的成功は2人のヨーロッパ人、つまりマリオとルイージのおかげです!」と語る。「日EU協定は2006年からの懸案でした。EU共通市場をモデルにし、加盟国で採択された基準が共通市場全体で適用される原則を採っています。当時リシャール・コラス氏が率いていた欧州ビジネス協会(EBC)だけがこの原則を支持していました。カナダとの協定も、日本との協定もこの 原則を採択することになったのです」と評価するのはEBCのビョーン・コングスタード氏。韓国とEUの自由貿易協定締結後2年が過ぎた2013年には日本との公式交渉が始まったものの、世界第1位と第4位の経済圏の話し合いは遅々として進まなかった。

結局、自由貿易への希望は、(よくあることだが)政治日程と予期せぬ登場人物ドナルド・トランプ氏のおかげで救われることとなる。「日本の衆議院総選挙は2018年末、ヨーロッパ議会選挙は2019年5月に予定されています。絶妙なタイミン グでした」とある外交官は述べる。一方で、アメリカ合衆国によるTPP離脱劇が、日本がEUに歩み寄るきっかけを作ったともいえる。

日本の目的は、関税率を下げることではっきりしていた。特に(車両および部品を含めた)自動車部門だ。EU側はより微妙な成果を狙っていた。税率だけでなく、他の障壁の撤廃も視野に入れていた。不適切な衛生基準(たとえばチーズ)、テスト(自動車など)、不要な規制(公募)等である。

白紙証書への署名はなし
交渉担当者は関税部門の合意について満足しているだろう。(恐らく2019年になるだろう)協定発効時にEUからの輸入の91% 、経過期間後(おそらく15年後)には99%に当たる関税が撤廃される。欧州委員会によれば、現在EUが支払っている関税は年間10億ユーロに上る。非関税障壁も、(フランス革命時のバスティーユ監獄のように)「陥落」した。革製品については、協定発効時に輸入割当が撤廃される。鉄道分野でも、例の「業務安全条項」(これまでは、日本企業が自分たちの安全基準を適用できた) がなくなる。だが、日本に詳しい企業家たちは、協定の適用 に注意するよう促している。非関税障壁の多くがまだ残っているからだ。日EU共通基準の策定も実現していない。公式 発表の冒頭には「さらなる話し合いがされている。だが、EUの高級官僚は次の障壁のリスクが新たに発生する可能協定の適用を注意深く見守ることが必要のビジネス関係者とは常にコンタクトを日本の担当者とは定期的に会合を開き合意が得られない場合には、問題を解訴えることになります」。

セシリア・マルムストローム 欧州委員(貿易担当)

「我々は実に熱心に交渉しました。貿易交渉では常に、ターゲットが変化し続けます。それでも、目的をほぼ達成したと思います。関税はほぼ全廃の予定で、何十億ユーロもの負担軽減に相当します。手続きの時間短縮も実現します。財源の少ない中小企業にとっては特に喜ばしいことです。EUでは、日本への輸出全体について3分の1相当、農産物について3倍の増加を見込んでいます。

この協定は、EUと日本の諸制度と国民をより強く結び付け、保護主義に対抗する強い共同メッセージを世界中の消費者と企業に発したのです。このような自由貿易協定がグローバリゼーションを作り上げてゆきます。怖くはありません。私は非常に満足しています。日本側は非常に野心的です。TPPに比べると我々はより  多くを求めていますが、同時により多くの好条件を日本側に与えてもいるのです」。

A

韓国の教訓

2011年の韓国・EU自由貿易協定締結からは、多くの教訓が得られる。EUから韓国への輸出は55%増え、関税撤廃によりEU企業にとっては28億ユーロの節約となった。EUの自動車産業関係者は、EUメーカーが韓国系により「大々的に取って代わられる」ことを懸念していた。だが、韓国車の輸出が53%増えたのに対し、EU車の韓国向け輸出は2倍以上増加。しかし、あるヨーロッパ人外交官は次のように警告する。「対韓国では非関税障壁の問題に触れていません。協定は成功したと見なされていますが、非関税障壁は調印後増えています」。

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