ダブルスタンダードの日本

エネルギー政策を巡り2つの期限を設けた日本。そこには再生可能エネルギーへの転換の道が示されている。

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Rデイ

2017年4月23日、日本の再生可能エネルギー推進者にとって、この日は、フランスにおける7月14日の革命記念日―「解放の日」のような存在となっている。この日のちょうど13時、九州電力で再生可能エネルギー由来の発電量が全体の90%超を占めたのである(うち76%は太陽光)。この季節、九州地方における電力需要は低く、加えて強い日差しが照りつけたことがこのような結果につながった。再生可能エネルギー推進派は、このような状態が全国レベルで常時実現するのではと期待しているようだ。

果たしてそれは実現可能なのだろうか? 福島原発の事故後、再生可能エネルギーの利用が飛躍的に伸びたことは事実である。「2011年3月11日時点で再生可能エネルギーがエネルギーミックスに占める割合は10%、うち9%が水力由来でした。それが今日ではその割合が16%まで増加しています。わずか6年間でこれだけ伸びるというのは驚異的なことです!」と興奮気味に語るのは、自然エネルギー財団(JREF)の事務局長大林氏。国内の太陽光発電容量は、6年間で5ギガワットから50ギガワットまで増加した。ところが経済産業省が先ごろ発表した2030年の国内エネルギーミックスに占める再生可能エネルギーの割合目標は、22~24%というごく控え目な数字にとどまっている。「40%でも十分現実的です。かなり大胆な数値目標だと思われるかもしれませんが」と大林氏。こうした批判的な意見に対し、経済産業省からはいつも決まってこんな問いかけが返ってくる。「再生可能エネルギーの導入には、どのくらいのコストがかかるか知っていますか?」。福島原発事故後に設定された太陽光発電買取価格は極めて高額なものであり、国庫の番人たる財務省は、高くついたこの政策によるショックを今なお引きずっているようだ。ある再生可能エネルギー支持者も、「現在買取価格は18円/KWHまで下がっていますが、これでもまだ他国の2倍ぐらい高いんですよ」と認めている。一方で、複雑な行政手続きを強いる官僚的な日本の産業構造こそが、これら新たなエネルギー源による発電コストをいたずらに引き上げているのだと指摘する支持者もある。

グリーンな未来へ

しかし大林氏は楽観的だ。再生可能エネルギーを支持する河野太郎氏が外務大臣ポストに任命されたことにも風向きの変化が伺える――と、彼女は希望的な観測を抱いている。経済産業省内でも、再生エネルギーを巡る賛成派と反対派の攻防が熱を帯びているようだ。同省管轄下の資源エネルギー庁(ANRE)が先ごろ発表した2050年を目処とするエネルギー基本計画は、2030年までの計画と比べてかなり大まかな内容ではあるが、このニュースを第一面記事に取り上げた日経新聞は、当の2050年計画では再生可能エネルギー推進の意向が強まっていると指摘している。この新たな計画の中では、先の2030年計画とは異なり、起案者は初めて再生可能エネルギーを「日本の主要なエネルギー源」と位置付けた。「これには大きな希望が持てます。2年ほど前から経済産業省の再生可能エネルギーに対する見方は大きく変わってきました」と述べるのは、日本のエネルギー分野に最も詳しい専門家の一人、WWF(世界自然保護基金)ジャパンの山岸尚之氏だ。しかし、そもそもなぜこのような方針転換が行われたのだろうか?

代替案

山岸氏によれば、政府はエネルギーミックスにおける原子力発電の目標達成が極めて困難であると認識しており、これに代わる別の計画を用意しているのだという。「経済産業省も馬鹿ではありません。同省は当初の目標達成のために既存原発の稼働年数を40年から60年に延長することを見込んでいると公表していますが、福島原発よりも古い発電所の延命を国民に納得させられる政治家が一体どこにいるというのでしょう」とWWFでアナリストを務める同氏は語る。他方、世界各国における再生可能エネルギーの驚異的な躍進や、大手企業グループ(例えばエンジー社など)によるこれら新たなエネルギー資源導入への取り組みが化石エネルギーへの投資額縮小を招き、これによりその凋落が加速するのではないかという見方もある。例えばアメリカン・エンタープライズ公共政策研究所の予測によると、2040年の中国では再生可能エネルギーの方が石炭火力よりも安くなるという。「今日本で石炭火力発電所の建設を計画すると稼働開始は2032年頃、その耐用年数は40年となります。ですが近い将来もし再生可能エネルギーが競争力を得ることになれば、火力発電所への投資は無駄になるわけです!」と山岸氏。ソフトバンクが太陽光エネルギーに注力していることも、日本の産業界に向けた強力なメッセージとなっている。

そして国際社会も、日本にさらなる努力を求めて強い圧力をかけている。2019年のG20開催地は大阪だが、日本にとって極めて重要なこの種の会合で日本は努力の成果を示さなければならない。加えて日本は気候変動問題に関するパリ協定の締約国でもある。「河野大臣は、どの国に行ってもそこで面会した大臣に『それはそうと、どうして日本は石炭火力発電に頼るのですか?』と突っ込まれることになるのです」と大林氏は語った。


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