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Print従業員発明の権利の帰属

連載・特集 |16 12月 2011


 

フランスの研究開発税額控除(crédit d’impôt recherche)は、欧州諸国の中でも最も有利な制度となっており[1]、フランスで研究開発事業を行う外国企業にとっても非常に高いインセンティブを提供している。そこで、フランスで研究開発を行った結果創作された発明に係る権利は誰に帰属するのか(企業と従業員のどちらに帰属するのか)について、フランスの制度を紹介したい。

フランス法上、従業員が行った発明は知的財産権法典の規定に基づき、3つのカテゴリーに分類される。ひとつ目のカテゴリーは、「職務上の発明」(「inventions de mission」)とよばれ、従業員が、雇用契約に規定された実質的な職務に対応する発明任務の遂行の枠組みにおいて行った発明、または従業員に明示的に任された調査又は研究の遂行の枠組みにおいて行った発明と定義される。職務上の発明にかかる権利は、雇用主に帰属する。但し、職務上の発明を行った従業員に対しては、通常の賃金に加えて「追加の報酬」が支払われなければならない。かかる追加の報酬の計算方法は、労働協約[2]において定められている場合があるので、適用される労働協約の従業員の発明に関する規定を確認しておく必要がある。

職務上の発明以外の発明は職務外の発明であり、原則として従業員に権利が帰属することになる。但し、職務外の発明のうち、従業員が業務の遂行の過程で行った発明、企業の活動の枠組みにおいて行った発明、または企業に固有の技術又は手段若しくは企業が供与したデータに関する知識に基づき又はこれらを用いて行った発明については、雇用主は、「適正価格」を支払うことにより、一定の権利(所有権や使用収益権など)の付与を受けることができる。このような発明は、「帰属可能な職務外の発明」とよばれる。この場合に、発明にかかる権利の一部又は全部の企業への譲渡の条件については、従業員発明者と企業の合意に基づき決定されることになる。

その他の発明は「帰属不可能な職務外の発明」であり、雇用主から恒常的または単発的な一切の発明任務を任されることなく、従業員が労働時間外に行った全くの個人的な発明である。この場合、発明に係る権利は当然に従業員に帰属し、従業員は自由に当該権利を享受し処分することができる。

なお、いずれの場合も、発明を行った従業員は雇用主に対しこれを報告する義務を負う(当該報告を行わない場合、従業員の解雇理由となりうる)。当該発明の報告を受けて、雇用主は従業員による発明が上記3つのカテゴリーのいずれに該当するのかを決定し、必要な場合に従業員との間で報酬に関する合意を行う必要がある。

[1] www.invest-in-france.org/Medias/Publications/1406/Fiche%20Afii%20CIR%20mars%202011%20jp%20rev3.pdf<o:p></o:p>

[2] 労働協約:使用者の代表機関と労働者の代表的労働組合組織との間で締結される産業部門別の合意。雇用契約の規定が労働協約に矛盾する場合には、労働者に有利な規定が適用される。

発行:201111

 


TMI総合法律事務所フレンチデスク
デヴィ ル ドゥサール
パリ弁護士会所属弁護士 外国法事務弁護士(東京弁護士会所属)
dledoussal@tmi.gr.jp
電話: 03-6438-5428 Fax: 03-6438-5522 

千田 多美
パリ弁護士会所属弁護士
tchida@tmi.gr.jp
電話: 03-6438-5411 Fax: 03-6438-5522

[1] www.invest-in-france.org/Medias/Publications/1406/Fiche%20Afii%20CIR%20mars%202011%20jp%20rev3.pdf
[2] 労働協約:使用者の代表機関と労働者の代表的労働組合組織との間で締結される産業部門別の合意。雇用契約の規定が労働協約に矛盾する場合には、労働者に有利な規定が適用される。
発行:2011年11月 

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