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Print職場におけるメンタルヘルス

人材開発・商工会議所 |18 1月 2012

過去20年間、OECD全加盟国においてうつ病または双極性障害(躁うつ病)患者の増加が認められている。日本も例外ではなく、このようなメンタルヘルス障害により、日本人の労働効率のよさ、ワークライフバランス等の概念に変化が生じるなど、働き方が大きく変化しつつある。2011年9月14日(水)に開催された人材開発委員会では、有楽町桜クリニックの神山昭男先生および東京青山・青木・狛法律事務所のジャン・ドゥニ・マルクス氏のお二人からお話を伺った。

多面的な問題をいかに対処するか


日本政府はうつ病患者数の急激な増加に対して対応策を増やしている。自殺が20代、30代の人々の死因第一位となっており、うつ病対策は緊急な課題となっている。うつ病を引き起こす要因は沢山あるが、神山氏によると内部要因(性格、遺伝、病気がちな体質など)と外部要因(家庭環境、人間関係、仕事など)が複雑に絡み合うケースが多い。特に日本では、仕事が決定的な要因となっていることが多い。しかしながら、精神的な問題への会社側の対応が、充分ではないのが現状だ。理由としては、患者と企業、産業医間のコミュニケーション不足が挙げられる。産業医による休職の勧告がこのコミュニケーションを可能にする場合が多く、産業医がコミュニケーションを円滑にする役割を任されているとも言える。
一方、労働者の変化を察知すること自体が難しいことにも問題がある。いち早く問題を察知するために、一般定期健康診断においてメンタルヘルス不調者を把握する仕組みを取り入れるのも対策の一つだが、実施している事業所はまだ少ない。近い将来、日本政府が一般定期健康診断時のメンタルヘルス・チェックを義務付ける方針としているため、この点は改善される見込みである。神山氏は、「うつ病は再発のリスクが高いとされており、復帰した労働者の半分は、数ヶ月に再度休職となるケースが多い」と指摘するとともに、企業が労働環境を改善させ、うつ病を患う労働者が回復するようサポートをすべきだと述べた。このようなケースの対策としては、労働時間短縮などの措置が必要である。または、新たなスキルアップやモチベーション向上のための研修を用意するのも一つの解決策だと考えられる。

うつ病労働者の保護と個人情報管理の板挟みになる雇用主


うつ病を患う労働者のケアは、会社の道徳上の義務だと思われがちであるが、まずは法律上の義務となっている。労働者が安心できる労働環境を整えることは雇用主の義務の一つである。雇用主は労働者の生活や健康を守らねばならない。具体的には、日本政府は職場のメンタルヘルス問題の原因は過重労働にあると看做す傾向がある。「精神の健康」に関する法律が次々に制定されているものの、労働時間と労働時間に関する労働基準法のみに注意を払ったものとなっている。
うつ病の労働者を手厚く保護することは、もう一方の法律上の義務である個人情報の保護と対立する場合がある。ジャン・ドニ・マルクス氏は、「うつ病患者のケアをする企業は、機密情報の取り扱いに充分注意しなければならない。」と指摘する。労働者に関するデータは、個人情報管理法など多くの法律によって保護されているが、労働者の心身の疾患に関する情報は、更に注意深く取り扱われなくてはならない。例えば労働者が問題を抱えている場合、第三者からの報告を求めなければならないが、そのために当事者の同意が必要となる。これにより、解決策を見つけるのが更に難しくなっている。この二つのリスクを鑑みて、慎重に対処しなければならない。

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