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PrintBCP:震災後注目を集める事業継続計画

業界を探る |27 10月 2011

首都圏での災害想定イメージ

マグニチュード(M)7.3クラスの地震が東京周辺で起きる確率は、今後30年間で70%であると地震調査研究推進本部([www.jishin.go.jp/main/index.html->http://www.jishin.go.jp/main/index.html])が発表している。国や東京都の被害想定もこの見解に基づく。地震の規模と発生確率は、主に地質構造の解析と歴史的な資料から算定されるが、予想される地震の規模をM7.3とするのは<①首都圏内の地下にM9クラスのエネルギーを貯める地質構造は発見されていない、②歴史的に見ても東京周辺でM7.9~8.1規模の地震が約200年周期で繰り返し発生している、③1923年の関東大震災(M7.9)から約90年経過した現時点では地震を引き起こすエネルギーが最大値に達していないと考えられる>ためである。M9はM7の約1, 000倍のエネルギーを持つため、大規模な断層崩壊などがないとM9クラスの地震は発生しないと考えられている。実際、東日本大震災では幅200キロ、長さ400キロの断層崩壊が発生した。「専門家が指摘している通り、M7.3を引き起こすエネルギーは既に首都直下に貯まっていると考えるべき。大都市周辺の被害規模や対策を考えるとき、まず阪神・淡路大震災(M7.3)で何が起きたかを理解することが重要だ。内閣府のHP([www.bousai.go.jp/1info/kyoukun/hanshin_awaji/outline/index.html->http://www.bousai.go.jp/1info/kyoukun/hanshin_awaji/outline/index.html])や神戸新聞のHP([www.kobe-np.co.jp/sinsai/index.shtml->http://www.kobe-np.co.jp/sinsai/index.shtml])などに阪神・淡路大震災の詳細な検証記録があり、首都圏のBCP対策にはこの貴重な教訓を生かす必要がある。」と佐柳氏は指摘する。

 

東海・東南海・南海3連動地震が起こったら東京は?

東海・東南海・南海3連動地震はM8.7、南海トラフ南側の崩壊も起きる4連動ではM9を超える大地震が発生すると言われている。東海地方だけでなく関西、関東にも周期の長い揺れ(長周期振動)が大きな影響が及ぼす懸念が報告されている。特に高層ビル、橋、石油コンビナートなど大きな構造物が長周期振動に共振しやすいため注意が必要だ。地震調査研究推進本部によれば東海地震が起きれば、東京周辺の高層ビルなどは40~50cm/秒の揺れの影響を最大で5分近く受けるとされている。予想されるエネルギー規模は東日本大震災の3倍。新潟県中越地震、中越沖地震、東日本大震災の際も首都圏ではエレベーターのケーブルが絡まる被害や、高層ビルの揺れが長時間おさまらない現象、公共交通機関の停止、携帯電話などの通信規制が発生したが、東海・東南海・南海連動型地震ではこれに加え、大規模な交通規制や橋の通行止めなどがおき、移動が妨げられる可能性がある。

 

地震直後の東京はどうなるか?

警視庁は、東京で大災害が起きた際の交通規制についてHPで公表している。([www.keishicho.metro.tokyo.jp/seian/jisin/jisin.htm->http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/seian/jisin/jisin.htm])

直下地震が起きると、環状7号線の内側は封鎖、つまり全面車両禁止となる(第一次規制)。また、甲州街道、国道246号(玉川道路)、目黒道路、首都高速道路など20を越える主要道路は緊急交通路となり、緊急交通車両以外の交通は禁止となる。佐柳氏は、「このエリアの外にあるバックアップデータセンターやバックアップオフィスに人員を移動することが極めて困難になる。また一旦このエリアの外に出てしまうと戻ることも難しいことに注意して人員配置を考える必要がある。環七の内側は非常に危険な状況になるだろう。」と指摘。

 

空という手段

3月の震災時、東京から出るのが本当に難しいと感じた企業は多い。特に国内営業拠点の限られた外資系企業は、震災後に効率的に人員を地方のバックアップオフィス<img6942|left>

に移動させ迅速に業務の復旧に当たる必要がある。都内から出るには空しかないと考えた企業も少なくないはずだ。MCASは、エルメスとコラボレーションした仏ユーロコプター社のヘリコプターを成田空港~赤坂アークヒルズ間で飛ばしているが、そうした企業の要望にこたえるため、震災時にヘリコプターを活用し、迅速な人員や物資の移動を実現するヘリコプター・プランの提供を開始した(下記資料参照)。都内には多くのビルの屋上にヘリポート(HマークやRマークがあるところ)が設置されている。一般的にはあまり知られていないが、ヘリポートの強度、離着陸時に障害物、近隣の騒音規制などのためその多くは上空でのホバーリングの目標程度の役目しかはたさない。全てのビルの屋上のヘリポートにヘリが降りられるわけではないのだ。都内で常にヘリコプターが離着陸できる常設ヘリポートは木場の東京へリポートやMCASのアークヒルズのエアポートなど極めて少数しかない。

「被災時のヘリコプター利用は民間企業にとっても重要な選択肢。しかしスタッフを被災エリアから概ね30キロ外側の公共交通機関が利用可能な場所にできるだけ迅速にピストン輸送するのが目的であり、帰りは空席のままで都心に戻すことになってしまう。そこで赤十字などと連携して、帰りのヘリコプターを被災地の外側から医師、看護師、救命スタッフなどを無料で移動させる手段として活用してはどうだろう。」と佐柳氏は提案する。

 

BCPは投資?リスク分析は?リターンは?

危機管理の専門家である佐柳氏は「BCPも投資としてROI(Return On Investment)を分析すべきだ」と指摘する。「社会的責任を果たし、企業を存続させるために莫大な投資が必要となれば、震災前に企業の存続が危ぶまれる。BCPは継続可能な投資レベル内になければならない。リスクと投資レベルの検討方法は多岐に渡るが、最も簡便な方法は過去データを分析し自社と類似した事例を探し出すことだ。」と述べ、阪神・淡路大震災の被害データから自社の首都直下型被災リスクを予想することの重要性を強調した。さらに「教訓(=対策)の効果算定と言う意味からは3年の間隔をおいて発生した新潟県中越地震と新潟県中越沖地震の記録から学ぶことが多い。」とし、リスクをどのように評価するかという点に関しては、「地震の発生確率が30年間で70%という数字からはリスクをイメージしにくいかも知れないが、自分たちが生きている間には必ず起きるリスクであると考えれば自ずと対策の必要性が明らかになるはずだ。」と述べた。

 

企業の課題

日本は、地震については世界最高水準の情報を有しているが、有事の意思決定のシステムに関してはあまり検討していない企業が多い。海外と比較してコマンドコントロールの考え方が薄いという指摘もある。

一方で、社員は有事における社長や役員の立ち振る舞いに注目しており、一歩対応を間違えると取り返しの利かないダメージを残すことになる。「例えば、ヘリコプターというソリューション一つにしても、これは国内で事業を継続させるための手段であって、決して役員や駐在員を逃がすために使用するものではない。今回の東日本大震災でも役員室だけが地方に逃げようとした企業などは結束が乱れ、BCPを発動することもできず、その後の営業成績にも大きく影響が出た。緊急時の対応はマネジメントの試金石ともいえるのではないだろうか。」

 

森ビルシティエアサービスの「震災対策フライトプラン」

[www.mcas.co.jp/ja/information/pdf/20111003.pdf->http://www.mcas.co.jp/ja/information/pdf/20111003.pdf]

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