CCIFJイベント

記号論 アイデンティティを守りながらも市場に適応する

記号論 アイデンティティを守りながらも市場に適応する

在日フランス商工会議所のマーケティング委員会は、2019年1月5日、マーケティングと記号論のコンサルタントJean Henaff(ジャン・エナフ)氏を、« Changing to stay the same: how successful brands update their communication while keeping their soul(変わらないための変化:成功を遂げたブランドが、その魂を保ちながらどのように広報活動をアップデートしたか) »を議題にあげた会議に招待した。

記号論とは、シーニュ(記号)と、その組み合わせによりシニフィカシオン(記号表意作用)を生み出す方法に関する学問である。マーケティングに応用され、記号論はロゴや広告、またさまざまな形の広報向けビジュアル素材を作り出し、その分析を可能にした。ジャン・エナフ氏 20年以上、日本とアジアにおける消費財の世界に身を置き、日本人消費者の社会文化的な変化に適応するための有名ブランドのPR活動の変遷を研究してきた。

記号論が定義され実践されるようになると、女性をターゲットとした世界観の全く異なる2大ブランドが、ブランドアイデンティティを保ちながらも、どのように日本人女性の変わりゆく需要に応えていくかについてより理解を深めるために、実践的なケースやビジュアルコミュニケーションを研究した。ひとつめは、強烈な配色とメイクの独創性で有名な米国ブランドで、「ナチュラル」と「透明感」を大切にする日本市場に適応しなければならなかった。もうひとつは日本のブランドで、ユーザーと同じ速度で歩みつつブランドの伝統的なイメージを発展させ、革新的なライバルの打つ手に対抗するために努力しなければならなかった。この同業種の2つの全く異なるモデルについて、参加者全体が分析した。

会議では、有名ブランドの広報の背景にある仕組みや、そのブランドが、どのように市場への適応と自らのブランドアイデンティティの間で巧みにバランスを取っているかについて、より深く理解する絶好の機会にもなった。

このページをシェアする Share on FacebookShare on TwitterShare on Linkedin