企業トピックス
動物性タンパク質はもういらない!仏スタートアップが約6億円を調達
動物由来成分ゼロのたんぱく質生産を目指す「Standing Ovation」
「Standing Ovation」は、2020年に設立されたフランスの精密発酵を行うスタートアップです。同社は、動物由来のタンパク質を使用しないタンパク質、特にカゼインと呼ばれる乳タンパク質の生産を可能にする技術を開発しています。
カゼインは、牛乳を主原料とするチーズ、アイスクリーム、ヨーグルトなどの乳製品の製造に欠かせない重要なタンパク質です。
今回、同社はシリーズAラウンドの延長として、375万ユーロ(約6億7,500万円)の追加資金調達に成功しました。これにより、過去4年間の総調達額は2,300万ユーロ(約41億4,000万円)に達しています。
環境に配慮した次世代カゼイン「Advanced Casein®」の商用化へ
「Standing Ovation」が開発した「Advanced Casein®」は、従来の動物由来の乳タンパク質と比較して、CO2排出量を10分の1に抑えることができます。また、水や土地の効率的な利用が可能で、抗生物質やGMO(遺伝子組み換え生物)が必要ないという特徴があります。
同社は、この特許取得済みの「Advanced Casein®」の販売開始をする準備を進めており、年内の工業規模での生産開始を目指して、最終的な準備を進めています。
「Standing Ovation」の共同創業者であり、マネージングディレクターのRomain Chayot氏は、「4年間の研究と革新を経て、私たちの工業製造プロセスと生産プロセスを微調整してきました。今こそ、Advanced Casein®のグローバルな農業食品市場での大量生産と流通に向けて加速する時が来たのです。」とコメントしています。
新CEOの就任と今後の展望
「Standing Ovation」は、新たなCEOとしてYvan Chardonnens氏を迎えました。Chardonnens氏は、産業界の課題と消費者の需要の両方に応える新製品の開発のパイオニアとして知られています。
Chardonnens氏は就任にあたり、次のように抱負を語っています。
「私は、食品エコシステムにポジティブな影響を与え、気候変動の課題に対するソリューションを提供する可能性を持つ革新的な企業に参画できることに胸を躍らせています。今後の優先事項は、必要な規制承認の取得、市場戦略の強化、そして大規模な工業生産の開始です。」
この新しい取り組みは、従来の畜産業に依存しない持続可能な食品生産システムの構築に向けた重要な一歩となります。「Standing Ovation」の技術が実用化されれば、環境負荷を大幅に低減しつつ従来の乳製品と同等の栄養価、機能性、味を持つ製品を提供できるでしょう。
将来的に日本の食品企業や研究機関との協力関係を構築することができれば、日本の消費者嗜好に合わせた製品開発や日本独自の発酵技術との融合など新たなイノベーションの可能性も広がることでしょう。
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