商工会議所

在日フランス商工会議所 会頭よりメッセージ

在日フランス商工会議所 会頭よりメッセージ

在日フランス商工会議所(以下CCIFJ)は、安倍晋三元首相の悲劇的な訃報を受け、深い悲しみに包まれています。

安倍晋三元首相ほど、フランスにとって重要な日本のリーダーはいないでしょう。安倍晋三氏は、ヨーロッパにおけるアンカーであったことはもちろん、アフリカとの架け橋として、また国連における重要な発言力として、この国を捉えていました。彼は、あらゆる分野のフランス人と心から親しみ、それが両国の外交、また貿易、そして素直に人間としての交流にも大きく貢献することになりました。

野党や自身の側近にさえ働く、保護主義勢力と戦いながら、安倍晋三氏は尽力し、自国と欧州連合との間で2019年に発効したフランス企業が待ち望んだ歴史的な日本・EU経済連携協定(JEFTA)を強く進めたのです。「経済連携協定の調印は、その完全実施に課題が残る(非関税障壁の残存)ものの、これまでのところフランスの対日貿易にプラスの影響を与えている(ワインと乳製品の輸出の大幅な増加)。発効後10ヶ月間、フランスの対日輸出(18%増)は、ほぼ横ばい(6%)であった欧州の輸出を上回りました。貿易は双方向で増加し、協定の効果は日本側で肯定的に受け止められている」と上院(参議院)は2021年4月の報告書で指摘しています。

3年に1度、日本とアフリカの数十カ国が参加する国際会議TICADにも熱心に取り組み、この大陸におけるフランスの決定的な役割を理解しています。

国連安全保障理事会の常任理事国入りを目指し、国連での日本の存在感を高めることを望んだ安倍晋三氏は、フランスに耳を傾けていました。また、フランスは、インド太平洋に大きな軍事的プレゼンスを持つ唯一のヨーロッパ諸国として、世界の「自身の」地域の安全保障を維持するための重要なパートナーであることを認識していました。

安倍晋三氏がフランスを重要視していることは、その訪問回数の多さが物語っています。2007年と2014年にも安倍晋三氏はフランスを訪れ、2019年まで、安倍晋三氏は少なくとも年に1度はパリを訪れ、フランスのカウンターパートと会談していました。

しかし、その関係が最も豊かだったのは、経済的、文化的なレベルでした。安倍晋三氏は、世界一の観光地であるフランスを、自国を「目的地」の上位に位置づける「ゲートウェイ」として捉えました。こうして彼は、2018年にフランスで日本の文化イベントを1年間、「ジャポニズム」というタイトルで開催し、その後まもなく、日本におけるフランスの「文化シーズン」を開催することを決め、豊かな資金を提供しました。また、ラグビーワールドカップが2019年に日本、2023年にフランスで、オリンピック・パラリンピックは2021年に日本、2024年にフランスで開催されるなど、世界的に人気のあるイベントが日仏で連続して開催予定です。

これは、2013年に日仏間の同じ価値観の共有に基づく「特別なパートナーシップ」が更新されたことを意味します。また、日仏関係の枠組みを作り、奨励するもので、その3つの軸は、順に、経済、安全保障、文化です。その「ロードマップ」は、2023年に更新される予定です。

日本では、「アベノミクス」と呼ばれる彼の自発的な政策によって活動が活性化し、CCIFJの会員企業に利益をもたらすこととなりました。

安倍晋三氏の今までのご活躍に心から感謝の意を表するとともに、ご遺族、ご友人の皆様に、心から哀悼の意を表します。

在日フランス商工会議所 会頭
ジェローム・シュシャン

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