おかえりなさい

フランスに戻ってきた日本人観光客が向かうところ

+75%!
日本人が戻ってきた。フランスを悲嘆に暮れさせたテロの嵐の後、すっかりフランス離れしていた日本人観光客だが、また渡航者数が上向きつつある。2016年はフランスの観光業界にとってひどい年となった。観光業の専門家によると「過去10年間の平均は年間およそ70万人」だった日本人観光客は、2016年に前年同期比で40%減少し、わずか40万人ほどにとどまった。しかし日本の旅行会社やツアーオペレーターが発表した今年の上半期の渡航者数は、2016年の同じ時期に比べ50%増加し、フランスの観光業界を元気づける結果となった。しかし本当に心強いのは、下半期の予約の数字だろう。75%の増加を見込んでいるのだ!

2015年(日本人観光客数75万人)の傑出した数値までには回復しなかったものの、望ましい方向へ向かっている。「日本人観光客の数自体は、状況を理解するのに最良の指標ではありません。まず、中国人観光客数の200万人と比べれば、日本人観光客数70万人は目覚ましい数なのです。日本の13倍の人口を持つ中国に対して、日本人観光客数は、中国観光の約2分の1なのですから。また、この数はフランスを訪れる観光客総数が年間8500万人であることを考えれば、非常に小さな数字かもしれません。しかし、観光客の質、リピート率、消費者としての影響力の観点で、日本人観光客はフランスにとって非常に重要なのです」と、フランス観光開発機構の在日代表フレデリック・マゼンク氏は説明する。

新たな目的地
しかしこの回復は、キャパシティの問題でブレーキをかけられる可能性がある。各航空会社がここ数年で東京―パリ便を幅に削減したため、日本人観光客のフランス離れに影響を与えているのだ。他の目的地はというと、より好調だ。スペイや、意外なことにフィンランドが、ヨーロッパに新たな日本人観光客を呼び込むことに成功している。日本の航空会社かは、救済措置を見込めそうにない。現状で比較的高い航空運賃を維持できているため、急いで新たな席を用意する必要がいからだ。しかも日本航空は10月から成田―パリ線を運休する。一方エールフランス航空は、東京―パリ線のキャパシティを増やす方向で検討している。
またこの回復は、すべてに均等に行き渡っているわけではない。日本人はありきたりパターンを抜け出て、街の清潔さと治安が大きな課題のままであり、すでに知りつくされたパリから遠ざかりたいと思っているのだ。「日本人観光客がボルドーを訪れるために、パリを通らずマドリッドを経由することは、いまだかつてなかたことです」と専門家の一人は語る。このパリへの愛着の薄れは、「Coups de coeur(ひとめぼれ)」と発見の地としの地方に、恩恵をもたらしている。「フランス南西部の人気はとても高まりました」とフランス観光開発機構のフレデリク・マゼンク氏は注目する。ブルターニュ地方も動きを加速させるだろう。「これまで観光の売り込みを完全になおざりしていました」。ブルターニュの経済的な魅力をアピールするため東京に立ち寄ったブルターニュ地方議会議長ロイグ・シェスネ=ジラール氏は、そう認める。
旅行代理店のサービスは意味がないと考える旅行者が少なくない中、他との差別を図ることに腐心している旅行代理店は、アクセスが時に困難な、新たな目的地のプロモーションに力を入れている。そのような地域にとっては、まさに棚からぼたもちの状況だ。「危機が啓示をもたらす役目を果たし、業界の革新を余儀なくさせました」と、フレデリック・マゼンク氏は満足している。

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