より良いレンタカーのかたち

より良いレンタカーのかたち

レンタカーの社会的価値は、車を所有するよりも高まりを見せている

パーキングからレンタルへ

日本はカーシェエアリングに後ろ向きと言われ、UBER(ウ ーバー)の失敗がそれを証明しているようである。実際のと ころ日本は、往々にしてそうなのだが、この新分野において は一方で時代遅れでありかつ革新的でもある。経済産業省 は、カーシェアリングをレンタカー業者に対しては制限し、 個人には禁止した。 しかし、2000年代初め、つまりカーシェアリングがまだヒッ チハイクに限られていた時代だが、大手リース業者オリック スレンタカーは横浜で、日本初の電気自動車のカーシェア リングサービスを開始した(全車種向けのパーキングにつ いて名をはせる前)。この一匹狼は真っ先に不便を被るので ある。数年後の2009年には、パーキング運営会社のパーク 24株式会社が、株式会社マツダレンタカーを子会社化し、 カーシェアリング事業に乗り出した。当社はそのカーシェア リングサービスを「タイムズカープラス(TCP)」と名付けた。 そのビジョンは正真正銘のものであり、パーク24が管理す るすべてのパーキングに、数台分のカーシェアリングステー ションを設け、都市部で暮らす人々が近所でサービスを利用 できるようにした。パーク24はまた、カーシェアリングの予約 と、車の自動開錠ができるようなアプリを開発した。本人の市 民意識と、破壊行為や犯罪がないことがTCPの成功につなが ったのである。さらに良いことには、過去においては自動車 を所有することが社会的価値を表したが、現在ではカーシェ アリングは知性の証と見なされる。「2008年のリーマン・ショ ック以降、企業はコスト削減を目指し、運転手付き社用車を 何台も所有するよりも、カーシェアリングを利用する方向に 切り替えた」とマティアス・フィンガー(MATTHIAS FINGER) 氏およびマキシム・オドゥアン(MAXIME AUDOUIN)氏が 共著「THE GOVERNANCE OF SMART TRANSPORTATION SYSTEMS(スマートな交通システムのガバナンス:仮訳)」に おいて述べている。 現在、カーシェアリングサービスを提供する企業は30社余り あり、そのうちパーク24、オリックスレンタカー、カレコ・カー シェアリングクラブが大手3社である。カーシェアリングを利 用する日本人は130万人にのぼり(うちTCP利用は100万人) 、公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団(ECO-MO FOUNDATION)によれば合計14,941のパーキングで29,208 台が利用されている。本事業はすでにTCPの利益の15%に 達している。この成功の理由を説明するのは簡単で、非常に 近代的かつ統合された公共交通システムが発達した日本 では、自動車が副次的な存在でしかなく、カーシェアリング サービスがこの日本型都市に適していることが理由である。 「カーシェアリングにより、車の台数、交通量、パーキングの 数が減り、環境への影響も削減される」と交通エコロジー・ モビリティ財団は総括する。残るはカーシェアリングの個人 レベルへの拡大のみである。

危機:代理店からレンタル業者へ

現在、様々な発展が進む中で、自動車製造業者が最も懸念するのがカー シェアリングである。なぜなら、売上においてカーシェアリングの影響を最も 受けるのがこの業界だからである。カーシェアリングサービスのZIPCAR(ジ ップカー)によれば、車1台が正しくシェアされれば、15台分に相当するとい う。自動車製造業者にとっての唯一のメリットは、カーシェアされればされる ほど、買い替えのペースも早くなるということなのである。

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