コールドチェーンの端と端

コールドチェーンの端と端

ヤマトと仏クロノポスト社が未来のクール宅急便インフラに取り組む

ミーティング
クロノポスト経営最高責任者マルタン・ピエショフスキ氏とヤマトホールディングス株式会社の梅津克彦上席執行役員の対談が東京で行われた。2018年3月初めに開かれた在日フランス商工会議所総会で再会した。ミーティングの目的は冷凍(-18度)および冷蔵(-4度から0度)の食品宅配におけるパートナーシップの強化にある。日本はフランスに先行し、ヤマトが1988年から国内向け、2010年から海外向けサービスを開始した。一方クロノポストは、冷蔵品宅配に特化した子会社クロノフレッシュを2年前に開業したばかりだ。ヤマトの配達品の11%が冷蔵品である。「小包配達でこのようなサービスを提供しているのは日本だけです。このサービスを大規模展開できるということを、日本で学びました。ヤマトは私たちにとって理想的なパートナーです。ヤマトの歩んだ道のりは、私たちがフランスで実現させたいサクセスストーリーです!」 とマルタン・ピエショフスキ氏は語る。今のところ、クロノフレッシュの規模はまだ小さい。しかし一日あたり5000小包を既に取り扱うなど成長指数を見せており、ヨーロッパで確実に拡大していると、グループの広報、セバスチャン・グラ氏は言う。

未来の挑戦
クロノポストの1日の配送小包数が60万個であるのに対し、ヤマトは600万個を取り扱う。巨大企業ヤマトの梅津克彦氏にとって当サービスはグループ戦略の主軸の一つである。「2019年、我が社は100周年を迎えます。国際的な貿易システムを変革しつつある二国間あるいは多国間協定を活用せねばなりません。特に日本と欧州連合間の協定は重要です。当社はよりグローバル化する必要があ、プレゼンスが低い地域には、クロノポストのような戦略パートナーが必要です」。一方で、アジアを中心としたヤマトホールディングスの国際経験に基づいて考えると、5万人の日本人配達によって行われる時間指定通りの宅配サービスは、海外では不可能に近いと、梅津氏は断言した。クール宅急便技術の進歩によって、フランスが強いと言われている高級食品の製造業者に無限の可能性が広がる。彼らにとって、日本はまだまだ開拓できる市場である。それは食料品輸出に(やっと)乗り出した日本にとっても同じである。ヤマトが一端を担う「コールドチェーン」の整備は、北極から南極まで世界中の消費者が、距離に関わらず「本物」の日本の味を楽しめるようになる前代未聞のチャンスとなるだろう。先駆者である日本とフランスには、将来のクール宅急便に適用できる世界衛生基準がすでに整っている。「世界貿易が増大すればするほど、衛生基準は厳しくなるでしょう」と梅津氏は予測する。ヤマトは今、「日本国内は当日配達、その他の世界の地域は翌日配達」という配達日数を目指している。この新しい百年企業はさらに飛躍を遂げる可能性を秘めている。

 

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