「問題はどこへ向かうかではなく、いかにスピーディに到達するか」

日産CPLOフィリップ・クラン

日産CPLOフィリップ・クラン氏が語る、同社のモビリティ哲学とは。

新たなモビリティのかたちに対 する日産のアプローチとは?

現在世界人口の55%が都市部に 居住していますが、この割合は向 こう30年間で約70%に達するとみ られています。都市が以前から抱 える大気汚染などの公害問題は 悪化の一途を辿っていますし、交 通の問題も大きくクローズアップ されています。さらにモビリティへ の要求は高まるばかりで、多くの 人々にとっての交通アクセスの良 さが都市の繁栄を左右するとの結 論が様々な研究から導かれていま す。これは昨日今日の問題ではな く、私たちはその解決法を見つけ なければなりません。日産の取り 組みを簡潔に表現するならば、そ れは「ゼロ・エミッション、ゼロ・フェ イタリティ」の追求ということに尽 きます。今日では、自動運転や人工 知能、コネクティビティ技術、さら にはIoTなどを活用した新たなビ ジネスチャンスが生まれています。 私たちは新しいツールを手に入れ たのです。

御社における取り組みの進捗状 況は?

環境面ではかなり先を行っていま す。2010年に販売を開始した当社 初の電気自動車「リーフ」は累計約 41万5千台を販売し、世界で最も良 く売れた電気自動車となりました。 今後は車両ラインナップを充実さ せていく予定です。当社には「完全 EV化」への移行を支える中間技術 があります。 自動運転車の開発にも参入して おり、運転の一部フェーズ自動化 を進める中で、例えば2016年には 「セレナ」に自動運転技術を搭載 しました。また2022年を目処に当 社の全車両をコネクティッドカー にするという目標も掲げています。 現在、世界各地を走る当社車両の 40%、日本国内に限定すると50% がコネクティッドカーとなっていま す(日本国内ではNTTドコモと接 続)。先頃、Googleとも業務提携し ました。当社としては可能な限りス ムーズな乗車体験を提供するとと もに、当社の車両から得られるデ ータを最大限活用することを望ん でいます。

現在の最重要課題は?

問題はもはや「どこへ向かうか」で はなく、「いかにスピーディにそこ へ到達するか」なのです。一部の分 野においては、特にスピード感が 求められます。例えばお客様との デジタル通信がそうですね。当社 よりもこの分野に明るいDeNAと 業務提携したのはそのためです。 現在、自動化されたモビリティの バリューチェーン全体を一手に掌 握できる企業などありません。これ を管理するためには自動車の生 産や自動運転テクノロジーに精通 し、さらにデジタルプラットフォー ムを開発しなければならないので すから。

今後の展望は?

2025年には、日本と欧州を始めと する一部の国で、自動車の大半が 電化されることになるでしょう(e- POWERハイブリッド車と電気自動 車)。またタクシーなどを筆頭に、 部分運転自動化が実現するのは ほぼ間違いないでしょう。そこで 気になるのが自動運転化の割合 ですが、ここにはテクノロジーや 規制、社会的要素など多くの局面 が関わってきます。自動化は街の 風景を大きく変えることになりま すから、都市や国、管轄当局との 共同作業をもっと積極的に進め ていく必要があるでしょう。またこ のような革命に関与する他の当 事者の意見にも耳を傾けるべき です。

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