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ワトソンにお任せあれ
「安心してお休みを。あとはロボットにお任せいただければ大丈夫。」富国生命保険は、米国の大手IT企業IBMの人工知能(AI)プログラム「ワトソン・エキスプローラ」を導入、人員34人の代わりを務めさせる。クイズ番組「ジョパディ!」で勝利したことでも有名な「ワトソン」は、今回スタッフ監視の下、顧客情報査定の重要作業(診断書、病歴、給付金の計算など)を担当する。同社はこのプログラムに2億円をかけたが、2年後には利益を出せると計算している。他の保険会社(日本生命、第一生命保険など)でもAIシステムを導入中である。人工知能の研究者マイケル・オズボーン氏は「雇用の未来」(The Future of Employment )と題した論文の中で、将来は98%の確率で保険の管理業務の大半をロボットが行うことになると予測している。「繰り返しの多い仕事はこれまでPCが人間の代わりをしてきた。PCは、人間が物を製造するときのコストを削減しながら、人間の購買力を押し上げ、人間をより価値のある仕事へと向かわせてきた。しかし、今回のような『認知的』作業への機械の参入は、人間にとってマイナスに働くものである。仕事を覚えた人間たちが、機械によってさして能力を求められない仕事に追いやられ、その結果、さらに適性の低い人たちを窮地に立たせ、ついには労働市場から追い出してしまうことになる」と指摘している。富国生命のケースはこれまでに世界中で前例がある。しかし、あるフランス系保険会社の日本の代理人は、これにはまやかしがあると非難している。「これはIBMの大々的な世界的PRです。問題は、仕事のロボット化ではなく、事務作業の電子化やデータ収集の仕方なのです。とりわけ日本では、基本的にこの作業は紙の書類への記入という形で行われていますが、事務手続きの基本情報処理はインターネット上で行ったほうがはるかに楽でしょう。ワトソンのプログラムはおそらく保険会社の作業を多少は軽くしてくれますが、顧客側の負担はまったく改善されないでしょう」。SBIのように新規参入の保険会社の中には、デジタル問題を理解しているところもあるが、従来からある保険会社は問題を放置しているのが実態だ。

コンパニオンロボットの憂鬱
コンパニオンロボットは、長い間多くの人を幸せにしてきた。人型ロボット「ペッパー」やアザラシ型ロボット「パロ」(写真)などは、日本において、特に医療サービスの現場で労働力不足の解決策として貸し出されてきた。今日、コンパニオンロボット業界は「休止」状態である。スタートアップ企業Hoomanoの日本の代理人でコンサルタントのセバスティアン・カニョン氏は、「ソフトバンクがペッパーを製造するアルデバラン社を買収したときに多くの応用化が実現しましたが、それ以降、業界では現在あるものの保守の改善に努めています。ここ数年、あまりイノベーションが見当たりません」と説明する。

レンズなしで写真を撮る
レンズのないカメラが将来の写真の主流になる。日立はそう説明する。日立グループは2018年に向けて新しいタイプのカメラを発表した。レンズの代わりに、イメージをフィルムに取り込み、デジタルで再現する。このテクノロジーによってカメラを大幅に小さく、軽くすることが可能になる。イメージを取り込んだ後で焦点を変えることも可能だ。日立グループによれば、応用分野は非常に幅広く、ニュースリリースの中で、「モバイル機器や車、ロボットを使った、自動運転や人間の行動分析」にも応用可能だという。

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