比較

保護主義からの保護を

自由貿易に反対する「保護主義」の対価 は? HSBC によると、貿易障壁がもたらす総コストは年間4230億ドルに上り、これは900万人もの雇用喪失に相当するという。

2003~2008年に年間15%ペースで成長を遂げてきた世界貿易は、経済危機以降、毎年1.5%程度の伸びに甘んじている。「G20各国はこの危機的状況を認識しており、2008~2009年の大不況の際に構築した貿易障壁を撤廃すると口を揃えています。ところが実際には、撤廃よりも先に新たな保護措置が湧き出てくる始末です」と嘆くのはHSBCのエコノミスト、ダグラス・リポルド氏。同氏によると、2008年以降、世界各国で新たに導入された保護主義的措置は5072件にも上るという。こうした措置の形態は多岐にわたり、中には一見保護主義には見えないような施策もある。リポルド氏は「これではまるで経済が自分で自分の首を絞めるようなものです」と苦言を呈す。保護主義は自由貿易の障害となるだけでなく、投資への意欲も奪うリスクがある。

先進国でも、貿易自由化に対する国民の支持は下がる一方だ。世界の貧困が改善傾向にあるとはいえ、豊かな国で広がった格差により「労働者の多くはまるでスポーツでも観戦するかのように、経済成長をただ眺めているだけになってしまった」のである。資本は流動している、だが交渉力を奪われた雇われの身では、資本を前に力なく立ち尽くすしかない。

移民とは言わないけれど

2016年は、外国人の訪日に関する新たな記録が生まれた。外国人の純流入が1年間で40%増加し、13万6000人に達した。一方、外国人労働者は108万人で、20%の増加を記録した。

失業者はいずこ

2017年2月の日本の失業率は、なんと2.8% だった!日本はこの1ヵ月間で求職者9万人をいわば「失った」のである。唯一の問題は、同じ期間に労働力人口が31万人減少したことだ。ただし 失業率の改善理由を人口問題のみに求めるのは誤りだろう。なにしろ日本の失業率が5.5%を超えたことは過去に一度もないのだから。長いスパンで見ても1953~2017年の期間における平均失業率は2.7%にとどまっている。1968年の失業率がわずか1%だったことを考えると、この数字にはさらなる改善の余地がありそうだ。一方フランスの失業率は10%に達しており、史上最悪となった1997年の10.7%に迫る勢いを示している。ちなみに1975年以降のフランスにおける平均失業率は7.9%である。

女性の社会進出、男性の後を追う

日本やトルコ、そして韓国は、男女雇用機会均等という観点から見ると相変わらず他国の後塵を拝している。『THE ECONOMIST』誌によると、日本は最新の「ガラスの天井」指数においてOECD加盟29か国中28位だった。同誌は各種指標(賃金、教育レベル、教育費、出産・育児環境など)を総合して、どこの国が最も「平等」であるかを評価している。フランスは堂々6位にランクイン。1位のアイスランドを筆頭に、またしても北欧諸国が上位を独占している。昨年10月、アイスランドの女性たちは男性との15%の賃金格差に抗議して、金曜日の午後に一斉職場放棄を敢行した。日本でこのような「駆け引き」が行われれば、恐らく国全体が麻痺してしまうだろう。

人気は東京&大阪

マスターカードが発表した資料で、外国人観光客に最も人気のある訪問地20ヵ所の中に、日本の2 都市がランクインした。2016年に1170万人の訪日外客を迎えた東京は世界11位、大阪は700万人で17位となった。1800万人の外国人客を受け入れたパリは3位につけている。

最高レベルの保護

OECDによると、日本の被雇用者は世界でも特に厳しい雇用保護システムに守られている。雇用が最も安定的に保証されている国として、日本は 米国、カナダ、英国に続く4位。一方フランスは、韓国に次ぐ15位だった。

海外

企業の海外生産移転は、分野によって差が大きい。例えば、日本のエレクトロニクス産業で働く社員の4割は、日本以外の国で勤務している。 輸送産業の場合、その割合は49%。しかし製造業以外の分野においては、未だ国内市場にとどまっている。建設業の海外勤務比率はたったの0.7%でまだまだ国内に対する依存度が高い。 農業従事者の99.5%は、国内で働いている。総合的に見ると、日本の全就業者における海外赴任者の割合は9%になる。 

証明

「フランス人は、日本人よりもかなり高い割合で赤信号でも道路を渡っているのではないか」という問題がとうとう科学的に証明された。名古屋とストラスブールの交差点で行われた調査結果によるとフランス人の40%が赤信号でも構わず横断し、一方日本ではこのような信号無視がわずか2%に過ぎなかったという。しかも、フランス人は大抵誰かにつられて赤信号を渡っており、横断時に安全確認することもなく、前を歩く信号無視の歩行者に何も考えず追従する人が非常に多いことも調査により明らかにされた。

産業の価値とは

産業がその国のGDP (国内総生産)に占める割合は、世界共通ではない。日本のGDPで産業が占める割合は23%なのに対し、中国は43%、韓国は35%、フランスはわずか12%である。「欧州で、(この数字がフランスを)下回っているのは唯一ギリシャだけだ」とガラス大手の仏サンゴバン社の名誉会長ジャン=ルイ・べファ氏は、ビジネス誌チャレンジに掲載されたインタビュー記事で述べている。ベファ氏は「フランスは、ほとんど自国の産業に興味がないようだ」とインタビューを締めくくっている。

このページをシェアする Share on FacebookShare on TwitterShare on Linkedin