日本人の未来は流通にあり

Japan Consuming.com 編集長ロイ・ラーク氏

Japan Consuming.com 編集長ロイ・ラーク氏

唯一無二:

アナリストたちは、日本がとりわけ中国との対比で遅れていると見ています。しかし日本の強みは、細分化の進む中国に比べ、唯一無二の市場を構成していることであり、そのおかげで配送の発展、法制化、マーケティング、オムニチャネルの構築(どの販売チャネルかに関わらず、唯一無二の高品質の販売体験)などが容易になりました。東京でも地方でも、企業は常にこのような新しい状況に適応し、他国の市場ではまだ話題にもならない問題を解決しています。今日、日本は世界で最もダイナミックな市場であり、それこそが日本市場の未来が明るい理由なのです。

 

若者:

私は数年前に、日本の世代的マーケティングに関する記事を書きました。当時私は、人々は年齢とともに、親世代と同じ価値観を取り入れていくものと思っていました。私の大学教授としての経験から言えば(もちろんそれは限定的ですが)、新世代は旧世代と非常に異なっています。1985年に私が来日した時、日本では個人化と国際化という二つの言葉がよく使われていました。そしてまさに現在その真っ只中に生きています。若者たちは今、企業のために働くのではなく、仕事を持ちたがっています。これは大きな変化で、企業はいまだに理解できずにいます。学生たちは今、ゼネラリストであることよりも特殊な技能を身に着けることを求められています。彼らは常に勤勉であるでしょうが、同時に私生活を大切にしながら将来を築きたいと願っています。これは世界的な流れですが、日本では今までにない潮流です。日本の若者の英語力はおそらく平凡ですが、今どきの若者は英語を話したいと思っています。

 

変化:

日本はとてつもない人口減少に直面しています。2050年には3000万人減少すると見られており、労働人口は人口の半分以下になるでしょう。一方で、流通は順調といえます。なぜでしょうか?過去15年間に、流通セクターはかつてない勢いで変化しました。1990年代には停滞し、2000年代は移行と安定の10年となりました。
世界中で「小売りの輪」、つまり新しい小売りモデルが古いモデルに代わるというサイクルの一連の流れ、について話題になっています。この小売りの輪の中では新旧が常に入れ替わります。日本には世界一素晴らしいコンビニがあります。世界の他のどの地域でも、1日に3回も商品入れ替えをするような店舗はそう多くないでしょう。コンビニの情報システムは非常に優れており、電子商取引(Eコマース)において非常に先進的です。また、創業150年にもなるような歴史ある百貨店でさえ変化しました。毎日の買い物と伝統的なアクティビティをミックスさせる百貨店がある一方で、より高級志向を打ち出す百貨店があったり、逆に大衆的であろうとするところがあるなど様々です。東京で少し前に開業したGINZA SIX(ギンザシックス)は世界の最高級店のひとつです。

LVMHウォッチメイキング ディビジョン 会長 ジャン=クロード・ビバー氏

感動:

次に我々は、腕時計の陳列方法を検討しました。腕時計は従来ショーケースの中に置かれてきましたが、我々は腕時計とお客様の視線との間に、いかなる障害物もあってはいけないと考えました。そこで、研究者たちに、ガラスがなく、且つセキュリティを保てるようなショーケースの開発を依頼しました。研究者たちは、お客様があまりにも近づきすぎると、腕時計が消える仕掛けのショーケースを開発しました。これで視界が開けた、つまり、一般の人々が高級腕時計を間近で見ることができるようになったのです。
我々は、お客様が驚きを求め、何か意外なものを欲していることに気づきました。もし店に入って、あなたが買うものが既にわかっていたとしたら、驚きはどこにあるでしょうか?我々は感動を提供しなければなりません。夢や、思いがけない経験などです。今日、店舗はただ店舗であるだけではいけません。人々が集まり、座り、コーヒーを飲めるような場所になるのです。これが我々の革命なのです。

 

責任:

未来は「分かち合い」です。我々すべてが努力しなければならないという意味で、気候における分かち合いのことを示します。つまり国と国との間での繁栄の分かち合いなどです。富める者が手本を示さなければなりません。何らかの引き換えなしに腕時計を売る時代は終わりました。我々は、商品といくつかのNGOを繋げることを考えました。ウサイン・ボルトのようなウブロの「アンバサダー」に報酬を支払う際、その報酬の一部が非営利団体に届くのです。

 

インターネット:

我々は今21世紀を生きていますが、21世紀生まれの人々が能力を発揮して初めて、つまり2035年になってようやく時代は実際に動き出すのです。現在の意志決定者は20世紀生まれの人々です。カレンダーの日付は変わりましたが、人々のメンタリティーは変化したでしょうか。コンセプトはどうでしょう。哲学は?いや、まったく変わっていないのです。20世紀生まれの人々は昔の精神のまま、新世紀に突入しました。21世紀が始まるためには、21世紀生まれの人々が必要なのです。
Eコマースは、伝統的な商取引にとっては、単に順応できないという理由だけで脅威です。我々は、お客様がどの販売チャネルから買い物するかを選択できるように補完的でなければなりません。日本の百貨店の「外商」というコンセプトの素晴らしい例を見てください。担当者が夕方に自宅を訪ね、新商品を持ってきて説明する。これこそが贅沢というものです。
Eコマースからどのように利益を得るかを考えました。2006年以降、我々は中国FERRARI(フェラーリ)とパートナーシップ関係にあります。もし誰かがインターネット上で腕時計を売り買いしたいと思ったら、腕時計職人をフェラーリに乗せて配達に伺い、お客様の腕にはめに行くこともできるのです。順応できるのです。問題は、人々は往々にして過去の鏡を見るばかりで、未来の扉を見ようとしないことなのですが。

 

インターネット:

我々は今21世紀を生きていますが、21世紀生まれの人々が能力を発揮して初めて、つまり2035年になってようやく時代は実際に動き出すのです。現在の意志決定者は20世紀生まれの人々です。カレンダーの日付は変わりましたが、人々のメンタリティーは変化したでしょうか。コンセプトはどうでしょう。哲学は?いや、まったく変わっていないのです。20世紀生まれの人々は昔の精神のまま、新世紀に突入しました。21世紀が始まるためには、21世紀生まれの人々が必要なのです。
Eコマースは、伝統的な商取引にとっては、単に順応できないという理由だけで脅威です。我々は、お客様がどの販売チャネルから買い物するかを選択できるように補完的でなければなりません。日本の百貨店の「外商」というコンセプトの素晴らしい例を見てください。担当者が夕方に自宅を訪ね、新商品を持ってきて説明する。これこそが贅沢というものです。
Eコマースからどのように利益を得るかを考えました。2006年以降、我々は中国FERRARI(フェラーリ)とパートナーシップ関係にあります。もし誰かがインターネット上で腕時計を売り買いしたいと思ったら、腕時計職人をフェラーリに乗せて配達に伺い、お客様の腕にはめに行くこともできるのです。順応できるのです。問題は、人々は往々にして過去の鏡を見るばかりで、未来の扉を見ようとしないことなのですが。

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