輸出:不履行状態

Exportations état de carence

日本の農家は大きな可能性を秘めているにもかかわらず、外国市場を視野に入れることなく自ら不利益を招いている

お祭り騒ぎ

日本の農林水産省(MAFF)は祝宴に沸き立っているかのよう だ。同省は2月上旬、今年の農産物輸出額がまさに目標の1兆 円を達成する寸前だと発表した。農産物輸出額はこの6年間 で増加の一途をたどっており、2018年には過去最高の9,070 億円に達した。「背景には、アジアで日本製品の人気が沸騰し ていることがある」と共同通信は伝えている。こうした勢いを 受けて、政府は農家の輸出手続きを簡素化する「ワンストップ サービス」を創設すると発表した。

これらの数値はそれだけとってみれば莫大に思える。しかし、 相対的な次元で国家経済の規模に照らしてみると、取るに足 りないほどわずかなことがわかる。国連食糧農業機関(FAO) によると、日本は世界第3位の農産物輸入国だが、輸出国とし ては上位20位にさえ入っておらず、農産物輸出量は韓国の半 分、輸出額ベースではスイスやシンガポールを下回っている。 また経済協力開発機構(OECD)によれば、農産物の輸出がそ の国の輸出全体に占める割合は、世界平均の7.5%に対し、日 本はわずか0.6%に留まっている。

(フランス料理などとは異なり)加工よりも素材そのものを大 切にする日本の美食が世界中でもてはやされる時代にあっ て、こうした低迷振りは理解に苦しむ。特に高齢化と人口減少が進む日本のような国では、生産者にとっては外国市場に活 路を見出すことが生き残りへの鍵なのだから。

外国産食品(アジア産の食品を含む)を求める声は、例えばフ ランスでは厳然とした事実として存在する。「百貨店の『世界 の食品』コーナーは、品目が増え続けている数少ない売り場 のひとつで、お客様を引き付ける目玉の売り場です」と業界関 係者が指摘する。

 

手札

日本の農産物にはさまざまな手札がある。そう固く信じるの は、日本の農産物を外国市場に売り込もうと、人材大手パソ ナグループの系列会社パソナ農援隊(PASONA AGRI-PARTNERS) を立ち上げた田中康輔氏だ。同社はパリに日本食 材の専門店をオープンしている。「フランスのお客様にとっ て重要な基準は、健康、目新しさ、そして料理での使い勝手 です」と、パリから帰国してきた同氏は説明する。

「日本の生産者たちはフランスに特別な思いを抱いていま す。フランス人はブランドというものの価値を理解している からです」と語るのは、フランスにおける高級食材の大手販 売代理店であるTWF社の日本代表、宮崎千絵氏だ。しかし、 日本の生産者たちがフランス市場に進出するためには、一 連の高いハードルを越えなければならない。まず問題とな るのは彼らのモチベーションだ。外国でブランドを展開す るためには莫大な費用がかかり、安定した投資能力が必要 とされる。「そのため当社では、各製品カテゴリーのトップク ラスをターゲットにして、投資を説得しなければなりません」 と、宮崎氏は言う。TWF社は既に、ひかり味噌、MITSUBAクラ ッカー、日清のインスタントラーメン、S&Bのワサビといった 食材を取り扱っているが、新たに輸出に乗り出す作り手を募 ることは難しい。在日フランス商工会議所(ICC)内にWTFの 東京オフィスを開設した2015年以来、ミヤザキ氏がリサーチ した生産者は300件を超えるが、そのうちヨーロッパでの販 売にまでこぎつけたのはわずか1件のみである。「輸出候補 となる生産者に会う際には必ず国際戦略を質問するのです が、まったく何の戦略もないという答えが99%です」

 

テロワール

日本の農産物は素晴らしい品揃えと品質を誇る。しかし、世 界市場での販売価格はあまりにも高額だ。「日本と韓国は同 じ海に面していますが、韓国の海藻は日本の海藻よりはるか に安価です」と日本の流通業者は言う。

日本製品のコストが高い主な理由は、日本の農業が都道府 県と農業協同組合とによって極度に細分化されていること にある。それぞれが特権的支配勢力となり、資源を共有化 することなく独自の行動計画を継続しているのだ。農業部 門が急速に縮小しているにもかかわらず、整理統合の兆候 は全く見られない。

日本の農家は確かに、彼らの農産物を生み出す「テロワー ル」を高価格の理由として主張できるかもしれない。この 「産地」を意味するフランス語は日本の専門誌でさかんに 用いられている。しかしこうした産地に関する情報は、どれ ほど輝かしいものであれ、外国では知られておらず、高い 価格帯を正当化するものではない。例えば、フランスで販 売されている日本米の値段はベトナム産の米の3~4倍で あるが、品質の差に比べて価格の差が適正とは言えない。 ヨーロッパにおいては、日本の生産者は欧州市場4億人の 消費者との間に立ちはだかる高い衛生バリアを克服する 必要がある。特に農薬の使用に関しては、EUでは日本より も許容量がはるかに少ない。日本とEUとの間で締結され た自由貿易協定は、欧州の生産者にとって非常に有益であ ると見なされていた。しかし、最終的には日本の生産者た ちの野望を呼び覚ますかもしれない。やってみるだけの価 値はある。RA

 

地理的表示という解決策

地理的表示は、特定の日本の農産物の身分を保証する方法だろうか? そうだと信じる日本 の農林水産省は、EUの格付制度を日本に取り入れ、2015年以降59件の登録を行ってきた。 「この制度は、輸出を促進し、特定の産品をめぐるストーリーを確立するためにうってつけ です。しかし、日本人のすることは本末転倒です。輸出に十分な生産量がなければ、こうし た制度が何の役に立つのでしょう」と、ある外交官は自問する。

 

「 日本農業新聞」元記者の山田勝氏によれば、 日本は自国の農産物輸出を大幅に過大評価している

日本の輸出に関する統計の主な問題は何だと思いますか。

誤っているという点です。農産物のリストを吟味すれば、すぐに異常に気付きます。輸 出額が最大の品目は「その他」で、「飲料」と「肉」の5倍ですが、この「その他」には何 が含まれるのかは誰も知りません。かの財務省でさえ知らないのです!

他の品目に関してはどう思われますか。

根本的な問題があります。EUがビスケットを農産物の輸出品目に含めることはご く正当だと言えます。砂糖、小麦、バターなど、原材料がすべて地産だからです。一 方日本の場合は原材料が輸入されているため、ビスケットを輸出品目に含める正 当性ははるかに低いのです。また、たばこも農産物輸出品に数えられていますが、 半分以上が輸入された葉から作られています。少なくとも日本酒は日本の米から 作られていますが。第二に、日本はゴムや合成メントールなどの化学製品を輸出品 目に含めてしまっています。

養殖真珠も...

極言すれば、真珠貝から産出される真珠は水産物と考えることができるでしょう。

では、日本の農産物輸出額は実際にはどのくらいだと思いますか。

公式発表の0~20%の間くらいでしょう。残りの80%には実体がありません。CY

 

 

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