チーズ消費国日本?

[Translate to Japonais:] Japon, pays de fromages

1970年、80年代に日本に暮らして いた西欧人は、「プロセスチーズ」の洗礼を受けたこ とがあるはずだ。かつてスーパーマーケットのチー ズ売り場を席巻していた、大手メーカーによる大量 生産チーズを、まるで石鹸のようだと思いながら食 べていた人も多いと思う。日本で初めてチーズ製造 が始まったのは1870年、北海道だが、製造量はずっ と少なかった。1950年代まで、日本人のチーズ消費 量は一年間10グラムに満たなかった。しかし時代 は変わった。現在日本人は一年間に平均2.4キログ ラムのチーズを消費している。

大量生産のチーズ製造は1950年に増加したが、ナ チュラルチーズが現れるのは1980年代になってか らだ。先駆者である岡山の吉田牧場の吉田全作氏 は、イタリア名産のカチョカヴァロを35年前から作 っている。自ら牛の放牧、酪農を行い、その牛乳か らチーズ製造を行う。ちょうどこの時代にクール宅 急便のサービスが始まり、小生産者が地方に留ま りながら高品質商品を大都市のレストランなどに 送ることが可能になった。

協働学舎は、様々な理由によって社会に自分の居 場所を見つけるのが難しい人を受け入れ、牛、豚、 羊、山羊などの動物とともに自然の中で働きなが ら暮らすことを可能にしている。極めて自給自足 に近い生活で、毛糸を紡いだり、草木染めを行った りして生活を成り立たせている。ここでやはり30年 以上前から生産されているチーズの質の高さは 知られており、数々の国際チーズコンクールにも 入賞している。

現在、日本では100以上のチーズが製造されてい る。その半分近くが北海道だが、他の地方にも小 生産者が増えてきており、牛乳からだけではなく、 山羊や羊の乳からもチーズが作られている。種類 も豊富になり、フレッシュタイプ、ハードタイプのチ ーズから、ウォッシュ系、ブルーチーズ、また、柿の 葉に包まれたチーズや桜の花を載せたチーズなど 様々だ。公的機関もチーズに関心を持ち始めた。 チーズプロフェッショナル協会が何年か前から存 在し、国産ナチュラルチーズのコンクールを行って いる。チーズの国内需要が高まっているのに対し て、消費される商品のほとんどがヨーロッパから 輸入されている現状を鑑み、農林水産省は国産チ ーズの競争力強化に向けた取り組みを行っている。 目的は、国内の需要に応え、酪農家の収入を保証す ることにある。日本のスーパーマーケットに、ヴァラ エティに富んだ国産ナチュラルチーズが手に入りや すい値段で出回る日も近いかもしれない。 関口 涼子

 

 

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