辛抱強い庭師たち

La constance des jardiniers

「 日本人は価格と質そしてブランド名を見ています」

日本の農業を復活させるのは 今しかない。

美しさ

「日本の農家は庭師のようですね。美しいレタスやキュウリ を作りたいのですから…。» これは、日本の農村理解のため に数年かけて列島を旅した、或欧州女性外交官が出した辛 辣な結論だ。この言葉の裏にはあきらめが隠されている。農 業が狭い場所で作物を作る耽美的な作業になっている、つま り庭師の仕事になっていると。「日本の農林水産省は、技術が 農業に革命をもたらし、1970年代に起きた産業の奇跡に似 たことが農家の身近にも起きるのだと繰り返し言ってきまし た。でも、そんな気配は全く見られません」と彼女は続ける。 なぜこんなことになってしまったのか?日本の農村は工業化 した日本の裏面だ。戦後、米国政府に触発された農村改革 は、それまで地主に搾取されてきた全ての農民に土地の所 有権を与えた。しかし、この民主的革命は土地を細分化させ るという弊害ももたらした。

戦後の復興期、政府にとって農業は優先事業ではなかった。 「男性は平日工場に働きに行き、週末には都市を養うため に彼らのわずかな土地を耕していたのです」。 某専門家は 説明する。農林水産省は米と野菜の作付けを優先し(現在 50%の農地が稲作に使用されているが、その生産額は20% である)、その他は外国作物に開放している。日本の農業協 同組合のネットワーク、系統農協(コラム参照)が、この新し い世界を組織してきた。農協は農家にとって資材供給者であ り、欠かせない流通業者だ。農協はロビー活動によって最低 価格を保証し、重大な改革の試みを阻止しながら、主要作物 をめぐる海外との競争から日本の農家を守ってきた。こうして 農協は、自由貿易協定TPP批准に反対する請願書に1000万 の署名を集めることができた。日本の農業にもそれぞれの生 産分野がある(米、野菜、牛乳など)。しかし、土地の細分化 が全ての遅れの原因となっている。それは、食品の小売価格 が他国の2倍であることでも明らかだ 。

 

長野:レタスのサラダは無い

全国農業協同組合連合会の長野県本部、JA全農長野の有識者に会うときには、レ タスを用意しておいた方が良い。 JA全農長野は「適正生産戦略」と呼ばれる質的割 当システムを開発し、農家の生活を保証している。 どうやって?JA全農長野は、地域 での葉物野菜の日毎の最大生産量を決定している。そして、葉がシャキッとしている か、緑色の深さ、サイズ等、いくつかの評価基準を適用して、古参の委員会で評価さ れる。過剰に生産されたもの、あるいは全農の基準を満たしていないものは自動的 に破棄される(破棄に対する補償がある)。農産物のマーケティングを心配する必要 がなく、高い価格がつくので、農家にとっては有益な戦略だ。そもそも、誰が意義を唱 えるというのだ。システムを離れようとするレタス農家は、地元農協から除外される。 宝石のように素晴らしい長野のレタスは、今日、国内市場の34%を占め、卓越した高 い評価を得ている。しかし、虫は実の中にいるものだ。これらの美しい野菜は、強い肥 料のおかげで生産されている。「自然な」農作物を欲する消費者の新たなニーズに反 するものだ。「地域の20人ほどの農家が農協を離脱して、共同で有機レタスを生産し ました。全農にとってはとんでもないことです。行動を起こしたのは30代の若い世代 です」。大学研究者ケイ・シミズ氏は説明する。JJE

 

"系統"

システムは文字通り、1990年代半ばまで日本の農業協同組合の名前だった。あまりに硬直し た組織の在り方それ自体が、総称となってしまったのだ。1993年、JA(JAPAN AGRICULTURE)という名称にな る。日本の農家が働く枠組みはそのままである。650の地方協同組合に分かれるピラミッド型の構造の中で、肥 料や備品の購入から作物の販売、保険や社会保障まで、農家世帯の生活の隅々に農協は関わる。「農業協同組 合はすべての国に存在しますが、日本ほど幅広いサービスを提供するものは稀です。旅行代理店、葬儀場、結婚 式場のある農協もあるのですから」とPATRICIA L. MACLACHLA(パトリシア・L・マクラクラン)氏は驚く。この主 題を扱ったKAI SHIMIZU( ケイ・シミズ)氏との共著が近日出版される予定だ。

 

犠牲

人口統計もさらに暗い展望を示す。日本の農村の犠牲につ いて話そう。いくつかの都道府県における、農村部の過疎 化数値を見ると眩暈がしそうだ。一年で秋田県は人口の14 %を失った。畑の世話をするのは高齢者だけだ。外国人労 働者の助けを借りることもある。今日の農家の平均年齢は 66.4歳。210万人の農業人口の約100万人が70歳以上だ。 この荒廃した状況の中、安倍晋三氏は政権の座に就いた際、 大改革を発表した。彼は集約農業への転換を目指す。「自由 民主党は米国やオランダのような超集約な農業生産方法を 見定めているのです」と件の某外交官は説明する。その目的 を達成するためには、前提条件がある。土地を集約するこ と。今日の営農規模は1〜2ヘクタールで、競争力のある収量 を得るには不十分だ。進行する過疎化とともに、農地の集約 面積は自然と拡大するはずだ(現在の耕作放棄農地面積は 40万ヘクタール)。しかし、この土地整理は、政府が最善を 尽くしたとしても簡単には進まないだろう。 戦後の改革の 結果土地があまりに細分化されているので、「所有者の違う 隣り合う土地」の再編交渉が前提なのである。そのようなパ ッチワークを纏めるには何年もかかるだろう。

しかしここに政治的意思は無い。放棄された土地に対する 税金は低いままで、所有者の売却を促進しない。非農業分 野の民間企業は、理論的にはこれらの土地を使うことができ る。しかし、これらの土地を所有できるのは農家だけなのだ。 企業にせいぜいできるのは、土地を借りることだ。常々、次期 総理大臣候補として紹介される国会議員小泉進次郎氏は、 与党の農業改革を担当している。しかし批評家たちは、近代 化という虚飾で現状維持するためのアリバイ作りと認識して いる。事実、日本は戦後から続く農民組織の超保護的法規を 維持している。JAの協同組合が依然として力を持っているこ とは誰もが認めることだ。

しかし近年、若干異なる農民グループが日本で生まれてい る。福島の災害のおかげ・・・だ。健康と食は日本の消費者に とって重要なトピックだ。傷のないリンゴ、真っすぐなキュウ リ、穴のあいてないサラダ菜、どれも強い農薬のおかげだ が、日本人が好むこれら「美しい作物」のまま「低価格食品 を日本人は求めています。しかし、この基準は絶対的ではあ りません。スーパーマーケットチェーン西友の失敗を見てく ださい。スローガンは、EVERYDAY LOW PRICES(毎日が低 価格)でしたが、倒産してしまったではないですか。消費者 が見ているのは、価格と質そしてブランド名なのです」。ジャ ーナリストの山田優氏はこう見ている。RA

 

かしま広域農場は協同する

「この美しい地域は、どうも上手く回っていないようだ 」。 工藤健一氏は思っていた。 1980年 代、熊本(日本の南に位置する)から1時間ほどの上益城、その地域農協JAかみましきの職員と して、工藤氏は地元農家の高齢化と稲作依存を危惧していた。そして1987年、「かしま広域農 場」を設立するためJAを退職する。「ブロックローテーション」戦略による地域衰退打破をモッ トーに掲げて。 このアイディアは、集約した土地で単一作物を育てるが、毎年育てる作物は異 なるというものだ。一年目は米、翌年は小麦、その次は大豆・・・という具合である。こうして、生 産を多様化し「規模の経済」を実現することができる。論理的な解決策だが、12集落を集約す るには20年かかる。「彼のような地元っ子がこれほど時間をかけたのです。農村で物事を変え るために、いかに信念の力が必要かという一例です」。大学で協同組合を研究するケイ・シミズ 氏は言う。関連する著書が間もなく出版される予定だ。

かしま広域農場は、各集落から選出された代表によって運営されている。土地の共同化で相互 扶助が可能になるが、それは農家が高齢化し、もはや労働力を確保できなくなったとき必須にな る。「熊本地震後、地域のトラウマにも関わらず、かしま広域農場はトーンダウンしませんでした。 安倍晋三首相が訪れ、モデル農場として紹介したほどです」と ケイ・シミズ氏は強調する。 かしま広域農場は、JAかみましきとの縁を切らなかった。それどころかJAは、かしま広域農場と の協同によって売上の80%を上げているため、工藤氏から最安値で生産物の購入を切望してい る。

かしま広域農場の全資材を供給しているのもJAだ。低価格で?「工藤健一氏は1.3%の割引 価格で資材を購入しています。彼はそれが自慢なんですよ! 」ケイ・シミズ氏は面白がる。RA

農家世帯数 130万。 専業農家数44万3000

 

 

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