星々への道筋

La piste aux étoiles

1970年以降、日本の宇宙計画は国際的に高く評価されてきたが、計画の方針変更はまだ難しいようだ。

独立宣言

一般の人々が考える日本の製造業で抜きんでている分野といえば、自動車、電子、工業機械である。日本の工業王国はあくまでも地上だけであって、天空にまでは達してはいないだろうと一般には思われている。

しかし実は、日本は宇宙強国である。1970年2月11日の人工衛星おおすみの軌道投入は、ソ連、米国、フランスに次いで史上4か国目だった。これが輝ける未来を予告するスタートだった。しかし日本の宇宙計画は、足に鉄球をつながれた状態だ。戦後日本の「憲法上の平和主義」を考慮に入れなければならないからである。そして冷戦時代に不倶戴天の敵どうしであったアメリカとソ連のように、戦略的目標を有する軍隊に頼ることもできないのだ。日本の宇宙への冒険は、単に「平和的目的のために」行われるだけではなく、1969年に国会で採択され(65ページに続く)た歴史的決議の表現によれば「非軍事的目的」のため、言い換えれば防衛用以外の目的のために進められることになる。東京大学の付属機関であったISAS(宇宙科学研究所)は学術的研究に専念し、NASDA(宇宙開発事業団)は、アメリカの技術移転をもとに民生の用途のみを開発した(これらの機関は、現在JAXAに併合されている)。

米国は新しい「最高の盟友」である日本に技術移転をすることで、宇宙への踏み台を提供する。しかしその一方で、日本の翼をもいで米国の支配下に置こうとする。日本の宇宙計画は、その「平和主義的」な制限と財政的な制限にもかかわらず、目覚ましい成果を上げる。自国の打ち上げロケットH-IIを開発し、すべての宇宙航空分野で第一線の位置を占めるまでになり、ヨーロッパと同じく、宇宙への独自のアクセスを確保する。「日本は、固体燃料ロケット、液体燃料ロケット、有人宇宙探査計画、気象衛星・通信衛星といったあらゆる分野の人工衛星など、完全な計画を有しています」とCNESの日本代表者、ベルナール・ルチアーニはいう。日本の宇宙関連予算はフランスの予算レベルに匹敵する。

 

商業の壁

今日、日本は宇宙強国の中でもトップに輝いている。欧州11か国、カナダ、米国、ロシアとともに国際宇宙ステーションに参加する、アジアでは唯一の国である。そしてこのテーマに関するCNES東京事務所の興味深い研究が指摘するように、「2010年に探査機はやぶさのミッションの一環として小惑星からサンプルを地球に持ち帰り、2018年にははやぶさ2のミッションの一環として移動探査ロボットを小惑星上に着陸させた唯一の国」でもある。

しかし日本は今なお、軍事的使命の不在や商業的用途の欠如の代償を払っている。2008年には「宇宙基本法」によって宇宙の「非攻撃的」な軍事利用が認められ、民間事業を促進することにより、これら2つの問題を解決しようとした。しかしこの法律はなかなか効果が出ていない。現在、日本の宇宙産業の売上高は欧州の同産業のおよそ3分の1である。確かに日本の宇宙計画は、三菱重工、NEC、三菱電機、IHIなど国内の大手工業グループを惹きつけているが、こうしたグループは収益性よりも名声に配慮して宇宙計画に参加している。軍事計画や民間需要がないので、国の公共事業の発注のみに支えられることになる。宇宙産業はこうしたグループの事業ポートフォリオの中ではマイナーな一部を占めるにすぎず、その利益は例えば航空事業よりも低い。このように見通しが限定されているので、研究開発費には上限が設けられ、20年前から同じレベルに抑えられてきた。「これらのグループにとって宇宙産業はとるに足りない事業のひとつであるが、アリアンスペースにとっては、利益を得ることが存続にかかわる問題である」とフランスのある業者はいう。民間セクターの刺激がなく、国際競争から守られた日本の宇宙セクターは競争力が低く、グローバル市場への参入には程遠い。輸出が売上高に占める割合は、欧州の競合他社では23%に達するのに対し、日本は5%に過ぎない。

日本にとっての解決策はおそらく、日本の複数のコングロマリットの宇宙事業部門を統合して、国家的な宇宙事業者を1つにまとめることであろう。しかし電力事業と同様、かつて経済産業省が行っていたような組立式の事業体を作ろうという政治的意思は見られない。日本の宇宙計画にとって、商業の壁は音速の壁よりも乗り越えがたいことが分かる。

 

2030年宇宙の旅(日本版)

日本の宇宙産業の売上高を2倍にすること。これが、2017年に採択された日本政府のロードマップ、宇宙産業ビジョン2030で定められた目標である。このビジョンは、衛星データへのアクセスの改善、宇宙装備産業の推進、海外での日本の宇宙産業の開発、当該セクターにおける新しいアクターの出現の促進を目指す。

H-II:日本製

H-IIロケットは日本のコンポーネントのみを使用して開発された最初のロケットだ。日本はこのロケットでアメリカの技術への依存を取り払おうとした。このロケットは技術的な成功だったが、財政的に困難だった。

 

コード名QZSS

QZSSとは、日本により開発された衛星測位システムの名称である。他のGPSシステムが数メートル単位の誤差があるのに対し、これは10センチメートルという恐ろしいほどの精度を持つ。問題は、QZSSがアジアとオセアニアしかカバーしていない点だ。世界全体をカバーするには、EUの測位システム「ガリレオ」など、他のシステムと妥協しなければならない。

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