可能性のフィールド

Champ des possibles

48歳の久松達央氏はその世代のモデルとなる農業経営者だ。FJEに思いの丈を語った。

石油化学企業、帝人のサラリーマンだったあなは、 有機野菜の農園を作るために会社を辞めたのですね。

大学では環境問題や食糧問題に関心がありました。日本経 済が氷河期だった1990年代、私は20代でした。帝人での仕 事は好きでしたが、意義のある人生を送りたいと思ったの です。仕事と幸福がはっきり区別されている生き方をやめに したかった。それで退職したのです。

 

あなたの農園は労働条件で有名ですね。

久松農園は週5日、1日8時間労働です。農業はいまだに家族 経営に偏りすぎで、誰も雇わず家族が絶え間なく働いてい る状況です。農業は、超過勤務などについては労働世界の 規則の例外となっています。農業の労働市場を自由化する 必要があります。

 

農園の広さは6ヘクタールとのことですが、これは日 本にしてはとても広いですね。

初めは0.4ヘクタールで、犂一つからでした。採算が取れる ぎりぎりのところはどれくらいかを考え、この6ヘクタールに まとめるために40の地主に彼らの狭い土地を使わせても らえるよう説得しなければなりませんでした。私は100年前 のシステムを継承しました。日本の農業形態は1918年の米 騒動以来、土地が細分化され、非常に分散しています。長い 間、小さな面積で栽培することに問題はありませんでした が、1970年代に農業機械の技術が向上したことで、農家は もっと広い農場を持たざるを得なかったのです。ところが固 定資産税のシステムは相変わらず改正されていません。改 正を待っているうちに、90%の農場が消えてしまうかもしれ ません…。日本の地主は自分たちの土地を売るのを嫌がっ ています。それは先祖を裏切ること、自分たちの集落を見捨 てることだと感じているからです。

 

農業者が多すぎるのでしょうか?

今日、日本の農家戸数は140万戸です。そのうち9%のみが 1,000万円以上の年収を得ています。年に1,000万円以下 で、どのように家族を養っていけるというのでしょう?つまり 農家の90%は農業だけでは生活できないということです。

 

農業就業者の高齢化に懸念はありますか?

はい。ただし農業就業者の平均年齢が67歳に上がったとい う数字は違います。現実は、農場で実際に働いている人た ちだけをみれば平均年齢は55歳くらいです。

 

現在の状況における農業協同組合(JA)の責任は 何でしょうか?

すべてをJAに負わせるわけにはいきません。JAは、それ自体 日本の農業者です。より良い生産物をよりうまく生産しよう と努力するのはJAの務めです。今はJAばかりを頼る時代で はありません。

 

農水省は、ITが田舎での人手不足を緩和すると確信 しています。そう思いますか?

もちろんITは助けになります。以前は何年間も研 修を積んだ人間が必要だった仕事を、今では、資 格を持たない人が遠隔操作するGPSを搭載した 自動運転トラクターが行っています。しかしテクノ ロジーがすべてを解決するわけではありません。 日本の農場よりはるかに大きいアメリカの農場 のいくつかは今でも労働者を雇っています。

 

 

日本の消費者はオーガニックに対する姿 勢があいまいです。健全な生産物を賞賛する一 方で、大量の農薬や肥料を許容しています。

今日、日本人が農業に何を望むかを把握すること は難しいです。フランスや西欧の消費者にとって は、オーガニック食品の選択には環境保護が重 要となっています。日本人は、健康が鍵となる理 由です。

 

有機農業の将来についてかなり悲観的の ようですが。

年々厳しさを増しています。日本のような成長を続 ける経済では、オーガニック産業は、日本の安定 した直接流通網に支えられた消費者への直接販 売で機能してきました。しかし経済が収縮する中、 このような流通網を長く保っていくことができるで しょうか?一方、社会学的に日本の世帯が変化し ています。今日世帯の半分が未婚者から成ってい ます。私たちの生産物にとっての「バリューエリア」 は、子どもがまだ小さい30代のカップルです。しか しそのうち80%が共働きで、家族で過ごす時間は 1日3時間もありません。いったい料理をする時間 をどうやって見つけるというのでしょう?2100年に は、歴史学者たちが私たちの時代をオーガニック の黄金時代とみなすのではないでしょうか。…RA

 

 

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