ユズの苦い味

Yuzu

「 フランスはユズにうってつけの 国だ」と喜ぶ記事を、地方紙の高知新聞が昨年末 に掲載した。高知県の農産物輸出額は10年間で 20倍に増加している。その主な理由は、同県が国 内生産量の半分を担うユズの食材としての人気 が外国で高まっていることにある。その主な輸 出市場は、フランス、米国、中国だ。

かの有名レストラン「エル・ブリ」のスターシェフ、 アドリア・フェランが2002年に初めて来日し、ユ ズを発見した。それ以来、世界中の料理人が創 意を凝らしてユズを使うようになり、スダチ、ダイ ダイ、カボス、ユコウ、ジャバラといった、日本の 柑橘類全体への扉が開かれることとなった。ユ ズの生産量は2015年に2万3,671トン(農水省に よる)で、日本の柑橘類生産量の半分を占めてい る。高知のほか、徳島県や愛媛県を中心に栽培 されている。

農業全体の傾向と同じくユズの生産者人口は減 少しており、平均年齢は70歳に近い。市場も高齢 化し縮小している。この点で、国際市場は解決策 のひとつではなく、生き残るための唯一の解決 策なのだ。 ヨーロッパの柑橘類市場は、ユズ生産者たちにと って特に魅力的だ。「米国農務省(USDA)のデー タによれば、

ヨーロッパの柑橘類市場規模は年間 190万トンです。果汁は果物の重量の30%を占め ます。柑橘類の10%がヨーロッパの家庭で調味用 として消費され、そのうち1%を日本産のものが占 める場合、日本の生産者にとっては520トンの輸 出量に相当します」と、ある流通業者は試算した。 しかし、日本産ユズの輸出の歩みは遅い。2011 年、ある輸出業者がパリでシェフや料理評論家 140人を招き、ユズをテーマとしたディナーを開催 した。同イベントの成功を受けて、この業者はユズ をヨーロッパに輸出するための販売ルートを確立 することに決め、高知県最大のユズ農家である土 佐北川農場に協力を依頼した。だが言うは易く行 うは難し。ヨーロッパの保健当局が認める農薬の 量は日本で使用されるものの3分の1に留まるう え、除草剤は使用禁止だ。そのため生産者は果 樹の周りの雑草を手作業で抜かねばならない。そ こで土佐北川農場は、ヨーロッパ市場向けの特別 区画を確保し、周囲10メートル四方に農地のない 緩衝地帯を設けることとなった。こうした任務を 果たし、土佐北川農場は数トンのユズをヨーロッ パに輸出するに至った。そしてヨーロッパの一般 市民にユズをなじみ深い存在とするのに一役買 っている。今ではユズはジャム、ソース、ケーキな どにも使われている。「問題は、日本のユズの生産 コストが高すぎることです。韓国でははるかに安く 生産されています。韓国では最近まで、ユズは主に お茶用として皮のみを使用していました。しかし、 日本人が果汁も美味しいことを伝えたため、今で は果汁も使用し、日本に販売までするようになりま した」とある販売業者が嘆く。ユズをベースとした 人気の調味料「ポン酢」の主要メーカーであるヤ マサは、ずっと以前から原材料のユズを日本産 から韓国産に切り替えている。CY

 

 

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