堅い守り

Sur la défensive

日本の国防市場、今なお米国の禁猟地

鎖国

日本の軍事市場が欧州の企業に開放されることはないのだろうか?莫大な財政赤字を抱えるこの国は、極東地域における緊張の高まりを受け、ここ6年間膨れ上がる一方の防衛費をどう捻出するかと頭を抱えている。防衛費のさらなる合理化が求められるのも当然の成り行きだろう。その第一歩として2015年に創設されたのが、軍用機材の購入・販売の調整役を担うATLA(防衛装備庁)である。フランスで言えばDGA(装備総局)に相当する機関だ。サフランヘリコプターエンジンズジャパンの代表取締役で、フランスの航空産業界関係者により構成されるGIFAS(フランス航空宇宙工業会)日本支局長を務めるギィ・ボノー氏は「民間企業が開発した軍用機材を防衛省が世界各国の市場に売り込むという、防衛省と軍事産業との連携政策が示されたのです」と述べている。コストダウンという目標を明確に打ち出したこの政策は、日本の武器輸入のほぼ全てを独占する米国軍事産業とその競合相手たる欧州軍事産業との比較により、前者への依存状態を見直す契機となるかもしれない。現状維持派は、日本の国防が「米国軍事力の傘」に守られている以上、武器輸入もその庇護者の手に委ねるべきだという。これに対しある外交官は「同じく国防面で米国に依存している韓国のケースを思い出すべきです。韓国は日本ほど忠実な態度を示しているわけではありません」と反論する。事実、韓国の武器輸入のうち20%は米国以外の国から購入したものだ(日本はわずか7%)。

 

防衛省関係者は欧州に好感

内輪では、防衛省関係者も欧州(とりわけフランス)の軍用機材に大いに関心があるとの声が聞かれる。フランスは米国と並び独立した軍事力を有する国で、彼らの目には選択肢のひとつと映っているようだ。次の首相候補とも言われ抜群の知名度を誇る石破茂が防衛大臣を務めていた頃、彼は米国の庇護下から抜け出た後のモデルとして何度もフランスを引き合いに出している。近頃日仏両国はこれまでの脆弱な外交・安全保障関係の強化に乗り出しており、これが将来的にフランス軍事産業にとって商機となる可能性もありそうだ。両国は毎年外務・防衛閣僚会合(「2+2」)を開催している。フランス軍は北朝鮮による国連制裁回避行為を監視・阻止することを目的とした関係国間協力に参加し、ファルコン200「ガルディアン」1機に続いてフリゲート「ヴァンデミエール」を派遣、自衛隊と共に任務遂行にあたった。フランス軍事産業界は明るい将来展望を描いている。例えば、ダッソーのように、周辺海域での監視のため5機目のファルコン2000を日本に売却したばかりだ。または、一部の製品を通じて市場参入しているタレス・グループ。同社東京事務所代表のシリル・デュポン氏は「日本における弊社の強みは、現地のパートナー企業との共同開発方針を掲げているところです。日本の関連企業は弊社との関係を強化することで、弊社の専門知識を活用できるようになります。機材購入費も安くなりますし、外国市場への展望も開けるでしょう」と主張する。だが日本とフランスの間には、米国の縄張り内で狩りをするために必要な大型共同開発計画が存在しない。特に日本は、供給を保証する「FMS(対外有償軍事援助)」協定に基づき米国から防衛装備品を取得しており、これにより日本の関係産業が生産部門で幅を利かせることは難しくなっている。こうした状況では、日本は防衛装備品を米国の言い値で買わざるを得ない。防衛省関係者は日米間の政治的思惑に振り回される一方だ。米国の対日貿易赤字が頭から離れないドナルド・トランプの攻撃的な外交がまさにそれで、彼は日本政府に対しもっと武器を買えと要求し続けている。設立間もないATLAに流れを変えるほどの力はないだろう、というのが欧州観測筋の一致した見方である。

 

ごく当たり前の予算

27兆円。これは日本の向こう5年間の防衛予算総額である。安倍晋三は2012年の内閣総理大臣就任以来、自国の防衛費削減に待ったをかけている。その後、防衛費は膨らみ続ける一方だ。さらに、首相は防衛費をGDPの1%以内に抑えるというこれまでの縛りに捉われることはないと明言している。この決定は、世論を構成する平和主義者たちの怒りを買った。だが「日本の防衛費は他の富裕国レベルに達しつつあるだけで、そんなに驚くようなことではありません」とフランス軍事産業界のある関係者は冷静に分析している。

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