会員の動き

Tamako Mitarai

文化


つなぐ

日本の将来は明るい――御手洗瑞子氏は、そんな希望を抱 かせてくれる稀有な人物だ。東京大学卒業後マッキンゼー・ア ンド・カンパニーに入社、その後25歳でフェローを務めたその 相手は……なんとブータンの首相だった。「ブータンは国の安 定を求め、インドに対する経済的な依存状態からの脱却を図っ ているところでした」。1年間フェローを務めた後、2011年3月 11日の東日本大震災を機に東北を支援しようと帰国した同氏 が数人の友人とともに目をつけたのは、津波で大きな被害を 受けた気仙沼港だった。2013年、三國万里子氏がデザインする 手編み服のブランド、気仙沼ニッティングを起業する。自宅で作 業できる数十人の編み手(現在は70人)に研修を行い、出来高 払いとした。漁師の家族が編み物に勤しむ伝統のある気仙沼 のような港では難しいことではなかった。フルタイムの社員4人 を雇用する会社は初年度から利益を上げ、一部の製品は仕上 がり待ちの状態だ。その理由は? 「ありきたりのものを欲しが る人はもう誰もいません。お客様は自分が納得できる哲学を持 つ企業を求めているのです」。去る9月、御手洗氏はヴーヴ・クリ コ ビジネスウーマン アワードのニュージェネレーション アワ ードを受賞した。

包む芸術

風呂敷は日本の新たな輸出品だ。日本人の日常生活に根付いた風呂敷はものを包むため
に用風呂敷は日本の新たな輸出品だ。日本人の日常生活に根付いた風呂敷はものを包むため に用いられる布だが、このたびパリ市庁舎前広場に巨大な風呂敷が登場した。その柄には日 本の大衆文化の豊かさが表れている。さらに風呂敷は、あらゆるシーンにマッチする優れモ ノ。「20年前には風呂敷を見かけることはほとんどありませんでした。しかし、今では30代、40 代の多くの女性が、バッグの装飾やクッションカバーなどに使用しています。フランスでも日本 でも、女性たちは同じように風呂敷を活用しているようですね」と語るのは、1937年創業の京 都の風呂敷メーカー、むす美の山田芳生社長。同社はLVMH、ジェーシードゥコーらとともに パリのイベントに参加した。

空港

エムシードゥコー、関西に登場

屋外広告の世界的リーダー企業がさらなる躍進をみせている。 ジェーシードゥコー社の日本法人エムシードゥコー社は、関西エア ポートにおけるデジタル広告の独占的運営権に関する契約を締結 した。これにより約4500万人に上る関西国際空港(KIX)と大阪国 際空港(伊丹)の利用客が同社のパネル広告を目にすることにな る。契約期間は10年間。現在同社は、全国41都市(大都市トップ20 を含む)およびショッピングセンター160ヵ所の広告パネル7800基 を管理する。ジェーシードゥコーは、世界中で215以上の空港に進 出する空港広告部門の世界最大手である。

エネルギー

風に乗るエンジーと住友

フランス沖に風注意報発令。住友商事は、仏ノワールムーティエ沖、 ル・トレポール沖で開発中の洋上風力発電事業2件に出資し、株式の 約3分の1を取得した。事業参画の相手は仏エンジーとポルトガルの EDPR社。各発電所の発電量は500メガワット、2件の投資額は総額40 億ユーロで、2021年の電力供給開始を目指す。

健康

イプセン、街にシマウマを放つ

フランス製薬大手イプセン社は、2018年11月10日に開催さ れたNET Cancer Day(神経内分泌腫瘍の日)のイベントに患者と ともに参加した。国際神経内分泌腫瘍連盟(INCA)が調整にあ たるこの国際イベントは、この希少がんについて一般市民や 医療関係者に広く周知することを目的とするものだ。札幌、東 京、横浜、京都、広島、そして福岡――患者団体PanCANとイプ センは、病院や関係各所に色鮮やかなシマウマを持ち込んだ。 シマウマは神経内分泌腫瘍(英語でNET)のシンボルだ。「現在 日本のNET患者は10万人に10人ほど。50歳ぐらいになってか ら遅れて診断される患者さんがほとんどです。確実な早期発 見が非常に重要です」とイプセンの日本代表ブノワ・ローロ氏 は述べている。

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