サロンのフランス人

サロンのフランス人

国際イベントの開催地としての 大きな潜在能力を秘めた日本。 GL EVENTSがその未来を切り開く。

 絶体絶命

創立40周年を迎えるGL eventsは、10億ユーロを 超える売上高を誇る企業である。イベント宇根伊、 展示会の企画、スペース運営の3つの事業が好調 だが、まだこれで落ち着くつもりはない。創業者が 経営の陣頭指揮を執るGL eventsは、開業当初のチ ャレンジ精神を忘れていない。同社は直観に基づ き、2019年のラグビーワールドカップと2020年の オリンピックの開催を見据えて、2017年半ばに日 本事務所を開設した。同社にとって日本が突如と して大きな重要性を持つようになるとは思いもよ らずに…。1年前、GL eventsは世界第3位の経済大 国についてほとんど何も知らなかった。今や日本 は、同社の将来の発展の中心となりうる。他の多く のフランス企業にとっても同様だ。何が起こったの か。2017年秋、愛知県(中部地方)は中部国際空港 の脇に建設される展示場の運営者を探していた。 企業家のロベール・ヴェルディエは、日本の建設会 社である前田建設とGL eventsの「お見合い」を企 画する。両社は12月1日に同展示場の運営事業の 優先交渉権を獲得し、翌年4月27日に契約に署名 する。外国企業がこの種のコンソーシアムで過半数 (51%)の出資率を占めるのは初めてのことだ。コ ンセッションの期間は15年間。「この事業でのリス クは運営リスクだ」と、2019年9月1日の開業の準備 のために東京に来ていた同社のクリストフ・シゼロ ン副社長は説明する。シゼロン氏は急速なペース で計画を進めている。「展示場をオープンするには 通常2年かかる」と同氏は話す。

開発が進まぬイベント市場

日本の自動車産業と航空産業の中心である愛知県 の工業地としての重要性や、新しい立派な空港か ら近い立地にもかかわらず、このスペースの開発 は進んでいなかった。同様に、世界第三位の経済 大国におけるイベント産業セクターも開発が進ん でいない。「米国や中国ではイベント用敷地の総面 積は約500万m2、フランスでは250万m2あるのに 対し、日本は40万m2しかない。東京圏は15万m2 だが、パリはこの3倍もある」とある業界筋は語る。 日本の国際展示場を訪れる外国人は、食事から行 政手続きまで、そのパッとしない体制を激しく批判 する。英語が話せる人がいないことについては言う までもない。このセクターには「おもてなし」は行き 届いていない。イベント産業は、日本で唯一の事業 者であるリードエグジビションジャパンが一手に引 き受けているが、競合がいない同社のサービスは、 しだいにその魅力が薄れてきている。 GL eventsにとって、愛知県の展示場は白紙のペ ージである。同社はすでにその先を考えている。世 界最大の外食産業見本市、シラの日本版はどうだ ろう。工業の展示会であるGlobal Industrieの日本 版はどうだろうか。すべては、日本人のメンタリテ ィを変えていく能力にかかっている。9月24日、GL eventsはアジア展開の資金調達のために1億700 万ユーロの増資を行った。

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