次の行き先は「伊勢」

次の行き先は「伊勢」

日本の最も重要な神社を擁する伊勢地方。意外にも、これまで定番の観光ルートから外れていた。

有名なのに人気がない

三重県にある伊勢は、知名度は高いものの、あ まり足を運ぶことがない場所の一つである。日 本を訪れる外国人旅行客には、まだそれほど知 られていない。それでも日本の神社の最高峰 の伊勢神宮は、いわば日本のバチカンであり、 メッカである。「江戸時代には、毎年600万人が 参詣したと推測されています。当時の総人口 3000万人に対してです」と、伊勢商工会議所の 担当者は話す。伊勢神宮は日本文化の最も象徴 的な祭事を行う場の一つであり、1000年以上も 前から、20年に一度、同じ形式で二つの社殿が 造り替えられてきた。この習慣は、世界の目に は、永続的な自然の再生、あらゆるものの無常、 世代から世代への技術継承の重要性、時間の周 期的な性質といった一連の「日本的価値観」として映る。伊勢地方は近年、若者を中心とした自 国の文化と歴史への関心を高める人々によって 見直されつつある。「新婚旅行で訪れる人も増え ています」と、伊勢商工会議所会頭の上島憲氏 は話す。

外国人観光客の増加

外国人観光客も、もうじきやってくるだろう。「真 珠のミキモトの真珠養殖場がある鳥羽への観光 ブームがありました。しかし鳥羽はどちらかとい うとマスツーリズムと考えられており、それが結 果的にはこの地方の国際的なイメージにマイナ スの影響をもたらしました」と、旅行会社の幹部 は分析する。

伊勢市は印象の薄さを払拭するため、魅力のPR に力を入れている。餅菓子のチェーン店赤福は、 江戸時代の街並みを再現し、貴重な工芸品や郷 土料理の店を復活させた門前町を再開発し、人 気を博している。伊勢地方は、魚介(伊勢エビな ど)や肉(松坂牛など)など、豊かな自然の恵み に支えられている。神宮には神聖な力があると されている御塩の製塩場がある。しかし、車での 移動の不便さや土地の風格にふさわしいホテル の不在など、いまだに観光面での欠陥に悩まさ れている。それでも、有名な高級ホテルブランド のアマンはこの地の可能性を見誤らなかった。 アマンは2016年、三重県にリゾートをオープン させている。

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