インタビュー

アルパディス・ジャパン株式会社 : 外国企業が直面する日本ビジネスの落とし穴

今回の「Business Regards Croisés France-Japon」では、日本で国際企業向けの管理・財務サポートを提供するアルパディス・ジャパン株式会社の代表、マルシャル・メシニャック氏を迎えます。1988年から日本に拠点を置く同氏が、約40年にわたる日本市場での経験を振り返りながら、外国企業の日本進出を取り巻く環境の変化や、日々直面する課題について語ります。各種手続きの簡素化、銀行口座開設の難しさ、人材採用の課題、そして円安や人口減少がもたらす新たなビジネスチャンスまで、日本で起業・事業展開することの実情を具体的な視点から紹介します。

アルパディス・ジャパン株式会社:国際企業を支えるパートナー

1988年から日本で活動してきたマルシャル・メシニャック氏は、これまでに複数の事業を展開してきました。日本で50年以上の歴史を持つPMC社と長年にわたってパートナーシップを築いてきたほか、チューリッヒに本拠を置くスイスのAlpadisグループと提携し、アルパディス・ジャパン株式会社を設立しました。

同社は主に、国際企業グループの日本法人を対象に、管理・財務面での各種業務を支援しています。サービスには、会計、給与計算、人事関連のサポートに加え、銀行口座の管理や資金繰りの管理などが含まれます。

メシニャック氏によれば、日本で行政手続きを進める際の最大の難しさは、必ずしも手続きの数そのものにあるわけではありません。むしろ、言語の壁や手続きの内容を正確に理解することが大きな課題となります。公的書類の翻訳があったとしても、税務署や自治体、社会保険関連機関からの指示を正しく理解し、対応することは、外国企業にとって依然として容易ではありません。

会社設立は容易になった一方、銀行口座の開設は依然として大きな壁

日本では、この20年ほどの間に会社設立に関する要件が大幅に緩和されてきました。会社法の改正や、株式会社(KK)に加えて合同会社(GK)が導入されたことにより、外国人起業家にとっても日本で事業を始めやすい環境が整ってきました。

資本金に関する一部の要件が撤廃され、会社運営に関する規則も緩和されたことで、法人登記のハードルは下がりました。しかし、こうした手続きの簡素化とは対照的に、銀行サービスの利用はむしろ難しくなっている面があります。

メシニャック氏によると、新たに設立した企業にとって、法人口座の開設、国際送金、日本のオンラインバンキングシステムの利用などは、大きな障壁となる場合があります。特に、日本国内に十分なネットワークがない企業や、日本語で対応できるスタッフがいない企業にとって、その負担は大きくなります。

「会社を設立することはできても、銀行口座を開設できない人たちを、私は実際に見てきました。」

この問題は、企業活動に具体的な影響を及ぼします。銀行口座がなければ、従業員の給与支払いを含め、通常の決済業務を適切に行えなくなる可能性があるのです。

日本での事業展開を成功させるために:行政手続きの先にあるもの

メシニャック氏は、日本で外国企業が成功するかどうかを左右する最大の要因は、行政手続きそのものではないと考えています。

納税期限を守り、正確な会計処理を行い、必要な手続きを完了させることは不可欠です。しかし、それだけで日本市場への進出が成功するわけではありません。

重要なのは、自社の商品やサービスが日本市場に適合しているかどうか、取引先との関係をどのように築くか、そして顧客やビジネスパートナーの期待をどれだけ理解できるかという点です。

行政・管理業務と、実際の事業展開とを区別して考えることは、同氏の経験の中核をなしています。アルパディス・ジャパン株式会社は企業の管理業務を支援する一方、同氏自身のほかの事業活動を通じて、日本市場の実情を直接観察しています。

円安と人口減少が生み出す新たなビジネスチャンス

日本に進出する外国人起業家の姿も、この数年で大きく変化しています。大規模な国際企業に加え、メシニャック氏は、観光、宿泊、飲食などの分野で個人事業主や小規模事業者が増えていることを実感しています。

この動きを後押しする要因はいくつかあります。円安によって、外貨建ての資金を持つ起業家にとって日本への投資が以前より割安になっています。同時に、人口減少が進む地域では不動産価格が下落するケースもあり、高齢化した事業オーナーが後継者を見つけられずにいる状況も見られます。

「円安、日本の人口減少、そして不動産投資の機会が重なり、現在、外国人起業家にとって特に有利な条件が生まれています。」

アルパディス・ジャパン株式会社の代表は、特に白馬のような山岳リゾートに対する外国人投資家の関心を挙げています。こうした地域では、海外の大都市と比較すると、不動産価格が非常に魅力的に映ることがあります。

また、伊豆半島南部に位置する下田のような地方都市にも、大きな可能性があると指摘します。人口動態の変化によって、既存事業を引き継いだり、新たな事業を展開したりする機会が生まれているためです。

ただし、こうした機会には実務上の課題も伴います。店舗や不動産を購入するだけでは十分ではありません。その後、工事業者などのサービス提供者を探し、改修工事を進め、地域の関係者とコミュニケーションを取りながら、日々の事業運営を行う必要があります。

外国企業、特に小規模事業者にとって大きな課題となる人材採用

行政手続きや財務面の問題に加え、メシニャック氏は外国企業が直面する人材採用の難しさにも注目しています。特に、規模が小さい企業や、日本に進出したばかりの企業にとって、採用は大きな課題です。

日本人の人材を採用しようとしても、すでに日本で確固たる基盤を築いている企業との競争は容易ではありません。求職者にとっても、海外に経営陣がいる小規模な外資系企業への就職は、将来の見通しなどに不安を感じる要因となる場合があります。

また、語学力が十分にあっても、マネジメントの慣習の違いやコミュニケーション上の問題が障壁となることがあります。

メシニャック氏は、日本で事業を展開するうえで、こうした人材面の課題は、法務や財務の問題と同じくらい重要だと考えています。人材の確保と組織づくりは、日本市場で持続的に事業を成長させられるかどうかを直接左右する要素です。

企業支援から現場での起業へ

メシニャック氏は、外国人起業家への助言や支援にとどまらず、自らも事業を展開しています。最近では、東京の古書店街として知られる神保町で、「Bande à part(バンド・ア・パール)」というカフェ・ベーカリー事業を立ち上げました。

同店では、パンやヴィエノワズリーなどのベーカリー商品に加え、店内で用意するドリンクも提供しています。パン職人を祖父に持つ同氏にとって、このプロジェクトは特別な思い入れのある事業です。同時に、飲食やホスピタリティ分野で、新たに事業を始めたり、既存の店舗を引き継いだりする外国人起業家が増えているという、同氏が長年にわたって観察してきた傾向も反映しています。

企業支援と実際の店舗運営という二つの経験が、日本の現在のビジネス環境に対する同氏の視点を形づくっています。

行政手続きの簡素化が進む一方で、事業運営には依然としてさまざまな制約があります。それでも、新たな投資機会が生まれるなか、本エピソードでは、外国人起業家が今日の日本で事業を立ち上げ、成長させていくための条件を具体的に考察します。

 

アルパディス・ジャパン株式会社

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