CCIFJイベント

共催セミナー、皆のためのコンパクトシティとは

2017年10月30日、日仏会館は在日フランス商工会議所との共催で、東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻の浅見泰司教授を迎えてセミナーを開催した。都市計画、住宅政策、空間情報解析が専門の浅見氏は、日本における「皆のためのコンパクトシティ」の利点についてプレゼンテーションを行った。

コンパクトシティとは、郊外化の抑制に基づく都市計画の概念であり、都市部を縮小し、自動車交通を制限する考え方。浅見氏は「都市の高密度化、拠点の階層化、都市部の拡大の抑制、自動車利用抑制の動き、緑地・オープンスペースの活用、強力かつ高密度で効率的であり、発達・強化された公共輸送網による都市連結性」がコンパクトシティの基本的な要素だと説明した。コンパクトシティが「皆のため」である根拠として、浅見教授はコンパクトシティ形成による社会へのプラスの効果を挙げた。主に、公衆衛生と環境の改善、中心市街地の活性化、文化・歴史的資源の活用による都市の魅力の再発見などである。これらの効果はすべて、投資対象としての魅力につながる。

一方で浅見氏は、コンパクトシティ推進についていくつかの懸念や課題も挙げた。どの程度までこの概念を展開可能か、この計画の実効性、都市計画によって切り捨てられる周辺地区の問題などだ。さらにこの概念は、導入にも実効性の認識にも時間を要する恐れがある。「これまでの都市計画とコンパクトシティの中間を望む人たちを説得するには困難が伴うでしょう」と浅見氏は指摘する。そこで、コンパクトシティに取り組むための適切な政策や都市再構築の戦略が必要になるが、この目的を目指して都市の低炭素化の促進に関する法律(2012年12月4日施行)のようないくつかの法律が制定され、減税や容積率規制の緩和が実現している。

皆のためのコンパクトシティの実現には資金が必要だ。浅見教授によれば、費用と便益は皆がシェアするべきであり、それが公正な社会福祉の分配や社会政策の合理的決定につながる。浅見教授は、便益や費用負担、報酬体系の公正な分配を目指して、この基本的要件が改善される余地があるかどうか考察する。税制を利用することで公正な分配を実現できるかもしれないが、ではどのような種類の税制にどのように依存したらよいのか。課税するのは利益に対してなのか、支払える人に対してなのか。

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