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サパンⅡ法:フランス腐敗行為防止当局の制裁委員会が、腐敗行為防止諸規定の遵守のコントロールについて下した初めての判断

LPA-CGRル・フェーブル・ペルティエ・エ・アソシエ外国法事務所パリオフィス:ジャパンデスクのキャサリン・ガヤルド氏と戸崎愛理氏

在日フランス商工会議所は、賛助会員であるLPA-CGRル・フェーブル・ペルティエ・エ・アソシエ外国法事務所パリオフィス:ジャパンデスクのキャサリン・ガヤルド氏と戸崎愛理氏よりご提供いただいた「分析」記事欄に対し心より感謝申し上げます。

サパンⅡ法:フランス腐敗行為防止当局の制裁委員会が、腐敗行為防止諸規定の遵守のコントロールについて下した初めての判断。

フランス腐敗行為防止当局の制裁委員会が下した初めての判断 ~予防と実用の重視~ 

サパンⅡ法(2016年12月9日付法第2016-1691号)により創設されたフランス腐敗行為防止当局(Agence française anticorruption)は、当該法により定められた腐敗行為防止諸規定の企業による遵守を監督します。

フランス腐敗行為防止当局は、サパンⅡ法の規制対象となる企業 が導入したコンプライアンス・プログラムの質及び効率性を自ら監督することを任務の一つとします。これにより、腐敗行為及び賄賂の予防及び探知を目的とします。そのため、同当局は調査及び制裁の権限を有します。

この度初めて、同当局の制裁委員会がサパンⅡ法の適用について判断しました。(2019年7月4日付決定第19-01号。)

2017年末より、ソヌパル社本社においてフランス腐敗行為防止当局による調査が行われた後、サパンⅡ法第17条のいくつかの違反を認定するため、当該案件は同当局の制裁委員会に持ち込まれました。なお、同条は、行動綱領の策定、リスク・マッピング、内部告発システムの導入など、8つの腐敗防止策の導入を義務付けています。

フランス腐敗行為防止当局が手続を進めた20か月の間、ソヌパル社は、サパンⅡ法の第17条で定める8つの腐敗行為防止策の導入・遵守に努め、自社のコンプライアンス・プログラムを改善し続けました。

こうして、20か月経過後に同当局制裁委員会がソヌパル社の違反の有無についてついに審理を開始したところ、当初同条項違反として指摘された点がもはや存在しないと判断し、同社及びその代表者に対して一切制裁を科しませんでした。

同当局制裁委員会は、当初指摘されていたいくつかの違反が審理の際にはもはや存在しないことのほか、同社が「真に努力」を行い、内部諸規定を「完成させている段階」であることを指摘しました。

また、同当局制裁委員会は、制裁の対象となる違反は、同委員会が判断を下す時にもなお継続している必要があり、当初認識された違反では足りないことを指摘しました。

こうして予防と実用の両方を重んじた点が、当該判断の重要なところです。刑事罰の場合は一度違反があればその事実に対して制裁が科されるところ、当該判断は、違反が指摘された時点から制裁委員会が判断を下すまでの間、追及されている企業に自らの違反状況を正す機会を与えたものといえます。

フランス腐敗行為防止当局による手続を経て、ソヌパル社の法令遵守の努力は実を結び、同社は同当局お墨付きの腐敗行為予防及び探知のシステムを導入するに至りました。サパンⅡ法施行後30か月を経過した今日、フランス腐敗行為防止当局の制裁委員会は、企業及び代表者のパートナーであり、単に制裁を科すための機関ではないことが明らかとなりました。もちろん、対象企業が真摯な努力を行うことが前提とはなります。

 


 サパンⅡ法は、以下の要件を満たすフランス所在の全ての企業に適用されます。

  • 従業員数500名以上。または全世界のグループ企業の従業員数が500名以上で、その本社がフランスに所在。及び
  • 売上(連結又は単体)が1億ユーロを超えること。

上記2要件のいずれも満たす必要があります。

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