インタビュー
ポッドキャスト Itinéraires singuliers - ブランシュ・ルワゾー、継承と挑戦の間で:日本で活躍するフランス人女性シェフ

彼女には、ブルゴーニュに留まり、名門ルワゾー一門の安定した環境のなかで働き続けるという選択肢もありました。
しかしブランシュ・ルワゾー氏は、あえて外の世界へ飛び出す道を選びます。2019年、彼女は日本へ渡り、伝統的な懐石料理店で働き始めます。そこは極めて規律が厳しく、外国人も女性もいない世界でした。最初の1か月間、誰からも声をかけてもらえなかったといいます。
それでも彼女は洗い場に入り、周囲を観察し、手伝えることがあれば自ら申し出ました。こうして少しずつ信頼を得ていき、副料理長が彼女を指導するようになります。この1年を通して、通常は閉ざされがちな日本の料理界に深く触れるという、貴重な経験を積むことができました。
三つ星シェフの父を持ち、美食の世界では広く知られた家の出でありながら、彼女が語る幼少期は、ソール村の家庭の台所で育まれた素朴な時間に満ちていました。ウサギのレバーのタルトレットは、彼女にとっての「プルーストのマドレーヌ」。父から受け継いだ「ひと皿の中に主要な味は三つまで」という教え。そして、「優しさを失わずに卓越を目指すことはできる」という強い信念が、今も彼女を支えています。
現在、彼女はフランスと日本を行き来しながら、ルワゾー・ドゥ・フランスに携わり、海外店舗やチームのサポートにも力を注いでいます。
「優しさと厳しさ」を両立させる姿勢は、彼女のマネジメントにも現れています。2023年にブザンソンで店を開いた際、スタッフの多くは女性でした。彼女は明確なルールを示します――もし客が一線を越える行為をした場合、彼女自身が店外まで連れ出し、必要であれば警察署にも同行する、と。
若い料理人、特に女性が、安全で安心して働ける、厳しくも健全な環境をつくりたいという思いがあります。
そして2024年、東京での開業の話が持ち上がった際も、彼女は状況を理解したうえで挑戦を受け入れます。行政手続きの厳格さ――たとえば名前の欄にフルネームが収まらないため、銀行口座の開設だけで数時間かかるといった現実にも直面しました。
一方で、日本人スタッフの几帳面さや柔軟性に欠ける面に戸惑いながらも、ひとたび決めた所作は一年中徹底して守るという、稀有な信頼性にも強く感銘を受けます。
そうした中で、彼女はフランスの文化と日本の作法のバランスを探り続けます。自ら動き、指導し、ときには一緒に厨房を掃除して彼らを早く帰らせるなど、無理に押しつけるのではなく、少しずつ信頼を築いていきます。
彼女の料理には、ブルゴーニュと日本をつなぐ自然な共通点が息づいています。
父から受け継いだ「三つの主要な味」という哲学、素材そのものの純粋さ、そして季節への厳しい眼差し。
さらに、金継ぎに象徴される日本の美意識――完全な均一性よりも、不完全さの中に宿る意味を尊ぶ盛り付けにも魅了されています。
東京で何を食べるべきかと尋ねられると、彼女は「ポーチドエッグのムーレット」を薦めます。
しかし最後には、「本当に日本を感じる料理といえばラーメンです。毎日でも食べられます」と、ほほ笑みながら打ち明けました。
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このポッドキャストは Anna との協力により制作されています。