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松屋:世界の銀座を象徴する個性的な百貨店
松屋の歩みは、明治2年に開港間もない横浜に呉服店「鶴屋」を開業したことから始まる。大正14年5月(1925年)、銀座に本店を開店して以来、「新しいことをやり続ける」をモットーに、当時、履物を玄関先で脱いで入店するのが普通の時代に下足預かりの習慣を廃止したり、呉服店が反物売りを中心にしていた時代に切り売りを行なうなど常に先進的な試みにチャレンジにしてきた。松屋グループの「顧客第一主義」、「共存共栄」、「人間尊重」、「堅実経営」、「創意工夫」の5つの経営方針は、創業以来変わらずに経営者と従業員に受け継がれている。
訪日外国人観光客がここ数年間で急激に増え、国内の百貨店業界は「爆買い」の恩恵を受けたと言われている。百貨店の多くは外国人旅行客向けの売り場作りに注力している。2016年1月末に三越銀座店では初の「市中免税店」が誕生した。松屋でも中国語を話すスタッフの配置や、日本発の化粧品を提供する「ツーリスト ショップ アンド ラウンジ」をオープンするなどの受け入れ態勢を強化している。一方で、もちろん日本人顧客に対するサービス向上も忘れることはない。「商品を提供するだけではなく、生き方(ライフスタイル)を伝えることによって、お客様との距離を縮めています。」と、顧客戦略部 顧客政策課長の服部氏は説明する。銀座店7階の「デザインコレクション」コーナーでは、日本を代表する建築家やデザイナー、アーティスト、評論家など26名からなる「日本デザインコミッティー」により選び抜かれた商品を紹介している。デザイン性や機能性のみならず、暮らしや生活環境に喜びや覚醒をもたらすような商品の提案を心がけている。
「フランスとの関係」について、服部氏は次のように話す。「日本人は昔からフランス、特にフランスのファッションに強い憧れを抱いています。松屋はこれからもそれらのブランドを大切にすると共に、現地で評価されている新しいブランドを日本に紹介していきたいと考えています。」
2020年のオリンピックに向け東京の街が大きく変わる中、百貨店の環境も変化している。
そこで松屋銀座店では、「GINZAスペシャリティストア」を進化させ、他店や他業界との差別化を図っている。地域に密着した、銀座の街に根付いたお店というコンセプトを打ち出している。松屋は3年後に創業150周年を迎えるが、更なる百貨店事業の収益力強化を目指している。「商品ではなくお客様に軸を置いて、『松屋と言えば銀座、銀座と言えば松屋』と思ってもらえるような百貨店であり続けたい。」と、服部氏は抱負を語る。