連載・特集

税制・法律講座:フランス進出にあたっての会社形態の選択

連載「税制・法律講座」は、会員企業の専門家が税制・法律に関するテーマについて解説します。

今回の連載「税制・法律講座」は、カデラス・マルタン公認会計士事務所によるフランス進出にあたっての会社形態の選択についてのレポートです。

フランスへの進出にあたり、外国投資家はいくつかの形態から選択することが可能です。

以下3つの会社形態の選択があります。
- 駐在員事務所(またはリエゾンオフィス)
- 支店
- 子会社

駐在員事務所の概要は、一般的に良く知られています。駐在員事務所は親会社に付随する二次的な事業所(又は、親会社の子会社の二次的な事業所)を指し、営業活動は行わず、フランスにおける恒久的施設(PE)としての資格を持ちません。一般的に租税条約は、駐在員事務所が行うことのできる業務を定義しています。日仏間で租税条約が調印されましたが、最終要綱はOECDのモデルに近いものとなっています。同条約では、恒久的施設の概念と、駐在員事務所の可能な活動を定義しています。駐在員事務所の活動は極めて制限、且つコントロールされています。もし、親会社が現地での活動を展開していくことを望むならば、恒久的施設の設立を決める必要があるでしょう。

この場合、恒久的施設として2つの形態が設立可能です。
- 支店
- 子会社

二つの形態のうち、どちらを選ぶかは重要です。支店と子会社の大きな違いは、支店は法人(権利義務の帰属者としての法人のこと)の資格を持たないということです。支店は、企業の二次的な営業所に過ぎませんが、子会社はたとえ100%本社が株主であっても、法人格を持ちます。子会社は自己資産を有し、関連会社の資産とは混同されません。経営戦略として、支店の設立は投資の形態としては制限された必要を満たすためだけに利用されるものです。確かに第三者にとっては、支店に対しある程度の警戒心が付きまといます。しかし、最終的には、支店というのは第三者にとって非常に安心で信用の置ける形態です。支店は法的人格をもたないことから、親会社の責任が無制限で問われることになるからです。他方、子会社の場合、親会社の責任は出資額までに限られます。(子会社が契約した借入金の保証人となっている場合を除く)

もし親会社が望むならば、単一株主による子会社を設立することも可能です。 (EURL, SASU) 子会社は、資本金を持つことが義務ですが、支店にはありません。いずれにしても支店が機能していくことができるように、本社から支店に割当てられている額が十分で、安定していることが必要になります。これらは準資本と同等に扱うことができるものです。親会社が株式の一部を別の会社(例えば、欧州ホールディングなど)または、ローカル・パートナー(ジョイント・ベンチャー)などに移転する可能性を残したいのであれば、子会社を選択する方が都合が良いでしょう。
会計面においては、支店も現地法人も同じ権利と義務を有します。支店は外国語での会計記帳が可能ですが、税務当局は翻訳を要求することができます。

カデラス・マルタン公認会計士事務所・監査法人 日本連絡事務所:http://www.caderas-martin.jp/

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