インタビュー

インタビュー – ビジネス:日仏交差する視点 – AC Mediaは日本とフランスをつなぐ編集の架け橋を築く

今回の「 ビジネス:日仏交差する視点 」では、日本人作家とのオリジナル漫画制作を専門とする出版社、ACメディアの日本代表を務めるキム・ベデンヌ氏にお話を伺いました。東京を拠点に、Ki-oon、Mana Books、Lumenなど複数の出版社を擁するグループの国際展開を担っています。日本の出版社との関係構築、オリジナル作品制作、そして日仏間のライセンスビジネスなど、そのキャリアはグローバル化が進む漫画市場の進化を象徴しています。 

「私たちが目指すのは、日本作品のライセンスとオリジナル作品のバランスを取りながら、“書籍”の枠を超えて作品を展開していくことです。」 

フランスと日本をつなぐキャリア 

ジャーナリズムを学んだ後、在日フランス商工会議所の「フランス・ジャポン・エコー」でのインターンを経て、キム・ベデンヌ氏は日本でキャリアを築くことを目指し来日しました。 

その後、日本大手の出版社である講談社に入社し、主にヨーロッパ向けを中心とした漫画ライセンスの海外販売業務に長年携わります。この経験を通じ、日本市場への深い理解と、フランス出版社との強固なネットワークを築きました。 

その後、パリのPika Éditionを経て再び日本へ戻り、AC Mediaに参画。現在は、日本人作家とともにオリジナル漫画作品を制作し、フランス市場向けの展開を推進しています。 

 

日本作品のライセンス事業とオリジナル制作を両立するACメディア 

グループの中核である漫画出版社Ki-oonは、創業当初から独自の編集方針を築いてきました。 

大手日本出版社とのライセンス契約を結ぶ以前から、創業者であるアメッド・アニェ氏とセシル・プルナン氏は、日本人作家と直接協力し、フランス市場向けのオリジナル作品制作に取り組んでいました。これは、当時閉鎖的だった日本の大手出版社を介さずに作品を展開する、新たなモデルでした。こうして生まれた筒井哲也氏の『ダズハント』のような作品は、この戦略の成功を象徴するタイトルとなりました。 

現在、ACメディアは日本作品の大型ライセンスとオリジナル作品制作を両立しています。『僕のヒーローアカデミア』や『呪術廻戦 』などのヒット作を背景に、Ki-oonはフランス第2位の漫画出版社へと成長しました。その一方で、自社オリジナル作品の開発にも継続的に注力しています。 

キム・ベデンヌ氏が推進するモデルは、日仏双方の編集文化を融合したハイブリッド型です。日本式に近い編集体制で日本人作家と作品を制作しながらも、よりバランスの取れた制作環境づくりを目指しています。 

作品はまずフランス語で出版され、その後日本を含む海外市場へライセンス展開されます。近年成功を収めた『リバイアサン』は、多くの国で出版されており、こうした“逆輸入”的なライセンス展開を象徴する作品となっています。 

 

大きく変化する漫画市場 

キム・ベデンヌ氏によれば、漫画業界は大きな変化を迎えながらも、依然として高い創造性と活気にあふれているといいます。 

デジタル化は日本市場を大きく変え、多数の配信プラットフォームや新たな作品発表の場を生み出しました。また、従来は男性向けとされていた漫画作品においても、女性読者が増加しています。 

こうした国際化の流れの中で、日本の出版社も新たな成長戦略を模索しています。海外ライセンス事業は、特にヨーロッパやアメリカ市場を背景に、収益の重要な柱となりつつあります。一方で、読者の嗜好や作品の楽しみ方は国によって大きく異なるため、各市場のニーズを理解することは容易ではありません。 

こうした状況の中、ACメディアはフランスと日本、それぞれの漫画文化をつなぐ新たなモデルの構築を目指しています。将来的には、オリジナル作品の開発やアニメ化をさらに進め、ライセンスを軸とした幅広いエンターテインメント展開を目指しています。 

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