インタビュー
ビジネス:日仏交差する視点 ― Airstar Japan:光というフランスならではの専門性が日本のイベント業界を照らす
本シリーズ「ビジネス:日仏交差する視点」の最新回では、Airstar Japan代表取締役のセバスチャン・ファル氏を取材した。長年にわたり日本に拠点を置く同氏は、世界的なバルーン照明メーカーの日本法人を率い、フランス発の技術革新と創造性を極めて要求水準の高い日本市場に持ち込んでいる。
「この産業は極めて特殊であり、まさに100%フランス的な専門性を有している」
グルノーブルで30年以上前に開発された技術を基盤とするAirstarは、現在では世界各地に展開している。アジア太平洋地域では、1993年にシンガポールに設立されたPartex Internationalを通じて事業拡大を進めている。同社は有名なバルーンライトにとどまらず、イベント、展示会、映画制作向けの照明・装飾・空間演出ソリューションを手がけている。その技術は、1990年代初頭の映画『タイタニック』の撮影にも活用されたことで知られる。
大規模イベントから日本での起業へ ― イノベーションを受け入れる市場
セバスチャン・ファル氏の日本でのキャリアは、2000年前後の国際スポーツイベントの流れの中で始まった。シドニー五輪後、アジア太平洋地域ではニュージーランドでのアメリカズカップ、続いて日韓ワールドカップなど大規模イベントが相次いだ。この地域のダイナミズムに惹かれ、同氏は日本への移住を決断する。その後、現地企業での勤務を通じて日本のビジネスおよびイベント業界の仕組みを学び、やがてAirstarアジア関係者と出会い、日本法人設立に参画することとなった。同氏によれば、日本市場は参入障壁が高く、ローカル企業との競争も激しい一方で、独自性のある体験への需要は年々高まっている。照明分野は従来機能性重視であったが、ラグジュアリー、イベント、没入型体験の領域では、より創造的なソリューションが求められるようになっている。
その中でAirstar Japanは、技術・デザイン・照明演出を融合したアプローチによって差別化を図っており、京都の寺院や歴史的神社の一時的なライトアップなども手がけている。
同社のイベントエンジニアリングは急速に進化しており、現在はLED技術が基盤となっている。しかし価値の核心は、むしろコネクティビティとデジタルツールにあり、遠隔操作による光の演出、カラー制御、空間演出が可能となっている。
五輪から映画、そして『タイタニック』へ
この技術の応用範囲は極めて広い。もともと映画分野との関わりが深く、1990年代初頭にはジェームズ・キャメロン監督の映画『タイタニック』の制作にも関与した。
日本では近年、より多様なプロジェクトに展開している。東京五輪では、トヨタ本社(愛知県)における聖火リレーおよび関連動線の照明演出を担当し、200メートル以上にわたる道路空間を照らした。
また、世界的アーティストのコンサート演出にも携わっており、直近ではバッド・バニーの日本公演における舞台演出も担当した。さらに坂本龍一の最終作品『Opus』プロジェクトにも参加し、映像収録のための特殊照明ソリューションを提供している。同社の技術は映画、建設現場、災害対応などにも応用されているが、日本法人は主にBtoBイベント市場を対象としている。特にラグジュアリー、ファッション、大規模プロダクトローンチが中核領域となっている。
イベントは企業にとって重要なコミュニケーションの場であり、数時間単位の短期的な催事であっても、空間デザインの質が大きな価値を持つ。
今後の課題:標準化とレンタルモデル
日本市場における最大の課題の一つは、技術認証および規格の厳格さだ。電気・安全・技術適合などの各種基準は、国内産業保護の側面もあり、海外企業にとって高い参入障壁となっている。この障壁を乗り越えるため、Airstar Japanは機材販売ではなくレンタルおよび仮設設置を中心とするビジネスモデルを構築した。同社は多数の機材を保有し、年間約100件、すなわち2〜3日に1件のペースでプロジェクトを実施している。
社内チームは企画段階から設営、技術プログラミング、撤去までを一貫して担う体制を構築している。意思決定の多くは東京に集約されているが、日本の高度な物流網により、北海道から沖縄まで全国での対応が可能となっている。
今後予定される大型イベントは、同社にとってさらなる成長機会になるとみられる。
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