インタビュー
Regards croisés – Ceysson & Bénétière:フランスのギャラリーが描く国際的な野心
本シリーズ「ビジネス : 日仏交差する視点」の新しいエピソードでは、「セソン&ベネティエール」のパートナー兼創設者であるロイク・ベネティエール氏にお話を伺います。サン=テティエンヌで創業した同ギャラリーは今年で20周年を迎え、現在ではフランス、ヨーロッパ各国、アメリカ、そして最近では東京にも新たなスペースを開設し、現代アート界の主要プレーヤーとして独自の道を歩み続けています。
「作品を持つこと自体は難しくありません。しかし、一度そこに“存在”すると、それは人生を大きく変えるのです。魂の次元を加えてくれます。」
ギャラリーの起源と国際的ビジョン
2006年にサン=テティエンヌで創設された「セソン&ベネティエール」は、ヨーロッパやアメリカへと早い段階で国際展開を広げ、そして東京への進出という長年の夢を実現しました。1970年代のフランス・アヴァンギャルドや抽象表現を軸としつつ、著名なアメリカ人アーティストも扱い、アジアに拠点を構えるというビジョンの実現を後押ししたのが、美術専門家であり現在東京ギャラリーのディレクターを務めるレスリー・ユー氏です。
知名度が歴史的蓄積の上に築かれる業界において、東京ギャラリーのオープンは国際的なメディアから大きな注目を集め、現在では1日平均30名ほどの来場者を迎えています。
贅沢と歴史の狭間に位置づけられた理想的な空間として
東京のギャラリーは、日本の厳格な規制、高いコスト、綿密なスケジュールの中で大規模な投資を行い設計された、理想的な展示空間です。出展アーティストにふさわしい場を提供し、東京の文化的景観の中で長く存在感を築くことを目的としています。
アートとラグジュアリーの交差点に位置する同ギャラリーは、国際的に名高いアーティストを紹介し、芸術史的背景に深い感性を持つコレクターを対象とした場でもあります。「セン&ベネティエール」は厳密かつ一貫したアート解釈を軸に、個性的な作品を求める来場者を惹きつけています。
東京で持続可能な芸術的対話を築く
芸術との向き合い方は文化によって大きく異なります。ヨーロッパでは一般的な巨大作品も日本では多くなく、またコレクターとの関係構築には丁寧な説明や背景づけを重ねながら、時間をかけて信頼を育む必要があります。ロイク・ベネティエール氏は、こうしたゆるやかな過程がより深い対話を生むと指摘します。
こうした考えのもと、同ギャラリーは二つの方向性を掲げています。
ひとつは、フランスおよびアメリカのアーティストを日本の来場者に紹介すること。
もうひとつは、日本のアーティストを見出し、将来的にヨーロッパで紹介することです。
日本のアートは既に欧州で高く評価されており、1970年代の日本の美術運動と歴史的に関わりを持つフランス人アーティストも多く存在します。しかしギャラリーのイメージは、ときに敷居が高いと感じられることもあります。そこで同ギャラリーは、ポップアップ展示や代替的な会場とのコラボレーションなど、アートへのアクセスを広げる取り組みを進めています。
東京においては、レスリー・ユー氏によるコレクターとの日々の対話と働きかけが、このプロジェクトの地域に根ざした発展をさらに強化しています。