インタビュー

Regards croisés–日本における時計ブランド再構築:ブライトリングの事例

今回のエピソードでは、ブライトリング・ジャパンのプレジデント兼代表取締役であるジェローム・シュムッツ氏にお話を伺いました。国際的なキャリアと日本市場での経験を通じ、老舗時計ブランドの変革の手法や、常に進化し厳格な文化を持つ日本市場で成功するためのポイントを語っていただきます。

「時計はあなたのパーソナリティの一部です。最終的には相棒のような存在になるのです。」

ジェローム・シュムッツ氏のキャリア

1884年にスイスで創業したブライトリングは、長らくシュナイダー家が所有していましたが、7年前にCVCキャピタル・パートナーズが買収。ちょうどそのタイミングで、挑戦に魅力を感じたジェローム・シュムッツ氏が同社に参加しました。

最初はスイスからアジア太平洋地域の責任者としてキャリアをスタートし、その後オーストラリアのマーケットマネージャーに就任。3年前、コロナ後の再活性化が求められる時期に1年間の予定で日本へ赴任しました。

当時の課題は明確でした――

ブライトリングを“現代的な大ブランド”として再ポジショニングすること。

2017年にはスイス時計業界19位だったブライトリングは、現在トップ10にまで成長しています。

赴任後1年が経ち、マイアミでの新たな任務への異動と日本での継続の二択を迫られたシュムッツ氏。彼は好奇心と学びの場としての魅力から、日本を選びました。

 

ブライトリング:技術遺産とライフスタイルへの進化

ブライトリングは航空史と精密計時技術と深く結びついたブランドです。

同社は現代クロノグラフの発展に重要な役割を果たし、1952年には航空航法のために設計されたナビタイマーを発表。さらに、自動車分野でも、平均速度計測が可能なタキメーター付きモデルで存在感を示してきました。

今日、ブライトリングはこの強固な遺産を尊重しながら、より身近でライフスタイル寄りのブランドへと進化を遂げています。

歴史の重厚さは、長期的なビジョンを支える信頼の基盤であり、日本市場において時計が“必需品”であることにも適応する力となっています。

 

日本市場:厳格で構造化された環境

日本の消費者は技術的な専門性や精度を特に重視します。ブライトリングのイメージは好意的であるものの、グローバル戦略をそのまま適用するのではなく、日本独自の期待値に合わせた調整が不可欠です。

購入までのプロセスは長く、非常に体系的で、購入決定までに最大15の接点が生まれることもあり、それがブランドとの長期的な関係構築へとつながっています。

ブライトリングでは時計購入者向けコミュニティ「ブライトリング・クラブ」を通じ、イベントや専用サービスを提供し、日本向けの限定モデルや色・素材の調整なども行っています。またデジタル戦略ではオンラインで興味関心を喚起し、最終的には店舗体験へと誘導するOnline to Offline型のアプローチを重視。日本ではオンライン購入は増えているものの、最終的な体験の中心は実店舗での人との接触である点が大きな特徴です。

欧州企業が日本で成功するには、忍耐と長期的視点が欠かせません。ブランドのアイデンティティを保ちつつ、日本の消費者の言語で語りかけることが、持続的な差別化につながるのです。

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