かげり

日本の太陽光発電の良き時代は過ぎ去った

夜明け
太陽光発電業界はまさに夜明けを迎えていた。福島の原子力発電所の事故から1年経った2012年6月、菅直人内閣は再生可能エネルギーの普及に乗り出した。その際、最初に恩恵を受けたのは太陽光発電業界である。日本の太陽光業界にテコ入れするため、政府は太陽光発電の電気を1KW/hあたり42円という極めて高価格で買い取る義務を電力事業者に課した。「経済産業省側は34円で十分と考えていたが、政治家がさらに引き上げた」と、電力問題が専門のあるロビイストは説明する。なぜこれほど大胆な政策を導入したのか。当時、 政権交代を結実させようとしていた菅直人首相と与党民主党は、再生エネルギーを高く評価しており、原子力寄りであった従来の自民党政権とは異なっていた。そしてまた、この政治的決定が過疎化の進む日本の地方を復活させる決定打となることも期待されていた。エネルギー問題のコンサルタント会社スキッピングストーンのスティーヴン・トーマス氏は次のように説明する。「太陽光パネルは大きなスペースを必要とする。耕作放棄地や放置されたゴルフ場の転用先としてぴったりだ。さらに、シャープをはじめ売り上げの低迷する企業にとって大きなビジネスチャンスだった」。世界中の太陽光発電業者が日本に目を向けた。太陽光発電分野で活躍するダイナミックなフランスの中小企業シエル・エ・テールは東京に進出し、ソーラーファーム向けのパネル部品の販売に取り掛かった。
4年後の現在、再度の政権交代を経て買取価格制度に対し再び厳しい目が向けられるようになった。4年間で69.4GW相当の太陽光発電所の設置が承認された。「再生可能エネルギー発展に向けた価格支援政策は優れた成果をあげた」と、経済産業省で省エネルギー・新エネルギー部長を務める木村陽一氏は自画自賛する。しかし、建設ラッシュが国には大きな負担増となったことから、国は本格的な方針転換を図り1KW/h42円の買取価格の一方的な見直しを検討した。最終的に、新規建設分については27円に引き下げ、経済産業省は一層の引き下げも実施するとしている。

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