アプリな若者たち

アプリな若者たち
日本の若者層の人口は減るばかりだが、日本製の若者向けアプリは増えるばかりだ。日本は、携帯アプリの世界最大のマーケットである。アプリの質という点では、今やアメリカを抜き、韓国やイギリスとの差を引き離す。今の日本の若者層は「モバイル世代」と呼ばれている。この世代は、子供の時から携帯を手にしていた初めてのジェネレーションで、彼等は携帯を使ったダウンロードや簡単な料金体系、高速通信、個人情報が簡単にインターネットに掲載される環境に慣れている。彼等は、サービスを無料で提供し、後に有料システムへと導くシステム「フリーミアム」を生み出す天才になった。国内市場を席巻する4つの事例を紹介しよう。

ツイキャス、無料でライブ配信
2010年始めに日本で運営を開始したTwitCastingことツイキャス。フェイスブックやツイッターのアカウント経由で自作動画のライブ録画・配信ができるアプリだ。2012年には人気が沸騰し、現在のユーザー数は550万人以上に達している。スマホ保有率84%の日本の若者の間で、とりわけ絶大な人気を誇る。サービス運営会社であるモイ株式会社代表取締役の赤松洋介氏によると、ユーザーの半数以上が25歳未満とのこと。日本以外ではブラジルで人気が急上昇中で、とりわけ社会的危機を暴く独立系メディアにより使用されている。自身の作品PRを目的にこのアプリを常日頃から利用している芸術家も多い。モイ株式会社は、4人一緒にライブ動画を制作できる「マルチプレックス」サービスの提供を近く日本で開始する予定である。

ボルテージの恋愛シミュレーション
ボルテージ社が提供する約60のモバイルアプリをインストールすれば、貴女も2次元イケメンキャラが登場する仮想恋愛物語のヒロインになれる。この「乙女」ゲーム配信サービスのユーザー数は、4月に2200万人を突破した。特に人気のタイトルは、『誓いのキスは突然に』『社内恋愛☆2人のヒミツ』『ゴシップガール‐セレブな彼の誘惑‐』…… バーチャル彼氏の登場と同時にユーザーは200円を支払い、この恋人キャラの気を惹こうと試みる。このはかない情熱物語を先に進めるには追加料金が必要だ。ボルテージの顧客は19~44歳の女性だが、その中心は30代である。海外進出を視野に入れる同社は、『Office Secrets(社内恋愛 2人のヒミツ)』『Be my princess(王子様のプロポーズ)』などを含む約10作の英語版「恋愛シミュレーション」もラインナップしている。――貴女もいかが?

LINE(ライン)
現在世界中に4億人、日本国内に5千万人ものユーザーを持つLINE。2011年3月の大震災後に家族との連絡を絶たれ、不安を募らせた経験を持つ若きエンジニア達が東京で開発したアプリだ。このアプリには、メールや写真・動画のやり取り、無料通話、さらにはフェイスブックの提供サービスに似た「タイムライン」機能などが含まれている。若者に大人気のLINEだが、このサービスは彼らが購入するゲームやメッセージに添えるスタンプの売上を資金源の一部に充てている。また日本市場への進出を目指す多くの多国籍大企業にとっても、LINEは欠かせない存在だ。これら企業はこのアプリのタイムライン上で新製品を紹介し、会社やサービスをデザインしたスタンプを提供する。例えばポール・マッカートニーのツイッターのフォロワーは200万人に満たないが、LINEのフォロワーは850万人を超えるという。彼のマーケティング担当チームは、LINEのアカウント上でコンサートの日程や新作発表を行っている。

NAVER(ネイバー)まとめ
他国同様、日本の若者も新聞が苦手だ。彼らが情報を取得するのは専ら無料のインターネットからで、その信頼性を気に留めることはあまりない。そんな彼らに「NAVERまとめ」が提案するのは、興味の対象別に情報を分類すること。このサイトでは、最もアクセス数の高かったユーザーに報奨金が支払われる。日経は新たな読者を獲得するため、このサイトと記事配信提携を結んだ。現在NAVERまとめのユーザー数は4100万人。リターゲティング広告代理店クリテオ日本法人の代表取締役上野正博氏は「自分が若い頃はメディアと言えば新聞でしたが、最近の若者の多くはNAVERまとめにメディアの役割を求めているようですね」とこの傾向を楽しんでいる。

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