エディトリアル : 交流

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エマニュエル・マクロンのフランス共和国大統領選出は日本のメディアでも大きく取り上げられたが、その多くは極めて好意的な内容だった。報道によると、安倍首相はマクロン新大統領に電話で「開かれた社会や自由貿易にとって、象徴的な勝利であり、EUへの揺るぎない信任である」と祝意を伝えたという。首相は公式発表の中で「日本とフランスは自由、民主主義、人権、法の支配といった普遍的価値を共有する特別なパートナーである。世界の平和と繁栄のため、共に協力していきたい。」と述べている。

39歳のマクロン大統領は、フランス第五共和制における史上最年少の大統領。欧州統合プロセス強化に向けた再結束、あらゆる分野における起業とイノベーションの推進を掲げ、フランス国民から確固たる支持を集めた。
 
これまでに何度か日本を訪れているマクロン氏だが、フランスにとっての日本の重要性についてはしっかりと認識しているようだ。経済大臣として来日した2015年には、「日本とフランスの間には互いを知る良好な関係が築かれており、両国間で数多くのパートナーシップや相互投資が行われている。日本に進出しているフランス系企業には6万人が雇用され、一方フランスでは日系企業に7万人が雇用されている。つまり13万人もの人々が日仏間の協力関係の中で働いていることになる」と述べている。来日時、マクロン氏は両国の共通点を数多く指摘している。「私たちの社会は成熟した産業社会であり、同じ課題に応える責務を担っている。それはこれまでよりもずっと破壊力のあるダイナミックな経済に対処するということ である。全てが以前よりスピーディーに進行する今の経済では、旧来の約束事に捉われることなく様々な規制や既得権益に揺さぶりをかけ、これにより新たな経済活動の場と機会を創出していくことが求められている」。 

我々は、マクロン大統領のもと、日仏両国がそれぞれの優れた部分を「真の意味で」学び合うことを望みたい。例えばフランスは、特に若者を対象とする失業対策についてもっと真剣に日本の 事例から学ぶことができるはずだ。なにしろ去る3月のフランスにおける若者の失業率は、OECD加盟国中で最も高い23.7%だったのに対し、日本は最も低い4.4%という数値を実現している。逆に、日本はフランスの人口政策から学ぶところがあるだろう。2060年までに日本の人口は2700万人減少する見込みだが、フランスでは逆に2007年との比較で1200万人増えると予測されている。 

もし私たちの国、日本とフランスがこれら2つの 問題を同時に解決できればよいのだが…… 

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