エディトリアル: 若者は天然資源

エディトリアル

1 9 8 0 年代、日本のアニメ漫画は、ソクラテス時代の思想のように、フランスの「若者を堕落させる」という理由でいい印象を与えなかった。しかし今日、その漫画が若い外国人たちを日本へ流入させる恐るべしファクターになっていることは認めざるを得ない。日本は、フランスの若者世代にとって非常に人気のある渡航先である。「親が子どもと一緒にバカンスへ出かけたいと思ったら、最高のくどき方は日本へ行こうと誘ってみることです」と、旅行会社ジャパン・エクスペリエンスのフランス人経営者ティエリー・マンソン氏は冗談めかす。フランスは「マンガ」の2番目の祖国だ。2000年、3人の若者が日本政府の支援を全く受けず、イベント「ジャパンエキスポ」を開催したのもフランスだった。第1回目は、バカンス中で人が集まらないとの理由で一般的にイベント開催を避ける7月初旬にパリで行われた。「反逆者はたった一本の電話だけで権力を手にいれることができる―それに応える人がいれば」(オーソン・ウェルズの言葉)のごとく、2,500 m2の会場に、来場者3,200人を集めた。2016年、その数は125,000 m2(50倍)、234,850人(73倍)に増えた。在日フランス商工会議所は、日本への冒険を試みる多くのフランスの若者を受け入れている。来日した誰もが、故郷フランスとどうしても比較せずにはいられない日本の日常生活の平穏さにただただ魅了される。「日本」という国は、フランス人の若者にとって突っ込みどころが満載だ。大企業では、いまだに年功序列制が継続されているのはよくあることだが、「若者」は彼等のように外国人であっても、みな一様に日本の労働市場ではチャンスがある。若者の失業率は、フランスが26%であるのに対し、日本は4.9%。フランス人の中には最初の雇用先を日本で見つける人もいる。また、日本で自らの会社を立ち上げるする人もいる。エレクトロニック・スポーツ(eSports)のとりこになったポリテク出身の若者ガリー・ミアラレ氏もその一人だ。eSportsは仮想競技で、観戦者数は、もはや従来の伝統的なスポーツの観戦者数に匹敵する。「日本は6年前のヨーロッパのようです。まさに今、日本に腰を落ち着けるときだと思いました」と、彼はHokuto Esports社を創設し、在日フランス商工会議所のビジネスセンターにオフィス構えた。一方で日本は、残念ながらこうして来日するフランス人たちを永続的にその地に留めることができていない。ごくわずかなフランス人が、日本語を学び、長期的に滞在しようと努力しているだけだ。日本企業は、総じて外国の若いディプロム保持者の雇用に前向きではない。日本はチャンスを逃しているのはないだろうか。人口減少に嘆く日本は、これまで以上に、この天然資源である世界の若者―こちらも不足している―に依存する考え方を持つことも重要ではないか。

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