コングロマリットの秘められた魅力

ローラン・サファ氏は、アルドネット株式会社を創設して独立する前は、巨大総合電機メーカーのパナソニック株式会社で、エンジニアとして12年間勤務した経験を持つ。日本流のイノベーションについて語った。

どのような経緯でパナソニックに入社されたのですか?
20年以上前に、パナソニックは外国人を採用し始めました。まずディプロムを持ったアメリカの若者たちを雇用しましたが、彼らはそのポストに留まらず、半年後には、退職してしまいました。そこで、パナソニックは方針を転換し、10年以上の経験を持つ世界中のエンジニアを対象としました。そのような経緯で、私は1997年に大阪の本社に入社し、そこで12年間勤めました。

パナソニックでは、どのようにイノベーションが行われているのですか?
入社後、2、3年経った頃から、次第に大きなプロジェクトを任されるようになりました。6年後には研究者になったのですが、それはもうかなり自由でした! プロジェクトの考案から、実行のための予算確保まで行い、インテリジェントビル、ホームオートメーション、生産性の最適化などに携わりました。パナソニックでは、エンジニアはプロジェクトごとに属し、部署に属するのではありません。ひとつのプロジェクトを立ち上げるのに、2、3人の50代の管理職が、数十人の社員とチームを結成することも珍しくありません。ひとつの目標のもとに集まった社員の集合体が、多くのシナジー効果を生み出します。エンジニアが、パナソニックの試みとは別の技術を、社内で開発することも良くあります。その場合、パナソニックは、スタートアップ始動のため資金を支援しています。企画者は自ら責任者となり、パナソニックの株主を考慮に入れなければなりません。パナソニックはとても柔軟で、硬直化した変化のない企業だというのは間違っています。それどころか、常に変化しています。

アルドネット社についてお聞かせください。
アルドネットは、産業プロセスの遠隔監視を扱う会社です。クライアントの設備機器を、無線チップのRFID、Bluetooth、3Gなどを使ってクラウドと結び、モバイル上でリアルタイムの監視が可能となるサービスを提供しています。

すでに利益は出ていますか?
最初の年は赤字でしたが、2年目にはトントンになり、3年目には利益が出るようになりました。

日本人ではないということが、妨げになりませんでしたか?
フランス人であることに対する障壁は何もありません。むしろ、チャンスだと思います。フランス人ということで、人々の記憶に残りやすいですから!

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