ゴルフ熱

ゴルフ熱

日本のシニア市場を侮るべからず。開拓せよ!

バンカー
ゴルフ人気の終焉か? 今のところは、まだ大丈夫だ。20世紀初頭から日本でこよなく愛されてきたゴルフは、当時の日本人にとって西洋化や現代化、また社会的地位の向上を体現するものだった。ゴルフ特有の価値観(粘り強さ、忍耐力、反復練習)が日本人の琴線に触れたことも人気の理由に挙げられよう。今でも駅のホームや通りでは、完璧なスイングを目指して足元の見えないボールを打つ日本人の姿を見かけることがある。1960年代には欧米選手と対等に渡り合える世界レベルの日本人ゴルファーが登場、ゴルフ熱は一気に高まった。その後バブル期には人気が頂点に達し、ゴルフ場の数は1964~1992年の間に387から2000ヵ所まで急増。ゴルフは日本経済と切っても切れない関係にあるが、両者のつながりは今なお続いている。同僚や取引先との長時間にわたるビジネスミーティングの場としてゴルフが利用されてきたわけだ。 「日本のゴルフは1日がかりの長丁場です。社会的にも非常に重要な役割を担っていますね。一方欧州では1ラウンドが数時間程度で終了します」と述べるのはラコステ・ジャパン社長のディーター・ハーベル氏。長い間男性のスポーツだったゴルフは、宮里藍選手(2012年には世界ランキング9位)の登場で女性の間にも広まった。ラコステは期待の若手、佐藤絵美選手のスポンサーでもある。ハーベル氏はこう語っている。「ルネ・ラコステの妻はゴルフのチャンピオンでした。その娘カトリーヌは1967年に全米オープンを制していますが、彼女は全米オープン史上唯一のアマチュア覇者なのです」。

4分の1
しかしゴルフは日本の好況時代終焉の象徴となってしまった。金のかかるこのスポーツは若者にそっぽを向かれ、現在のビジネススタイルにも合わなくなり、会社役員の接待ゴルフ費も減少。今日、営業を続けるゴルフ場は約700ヵ所にまで激減している。一部のコースは政府の再生可能エネルギープログラムを利用したソーラーファームに生まれ変わった。
だがこの西洋発のスポーツにビジネスマンの目を向けさせるデータがある。ゴルフ・データテック社と矢野経済研究所の報告書によると、日本は今なお単独で世界のゴルフ用品市場の4分の1を占めており、加えて市場の65%は日米両国が独占しているという。さらに興味を惹くのは日本人のゴルフ用品購入額だ。アメリカ人ゴルファー1人あたりの年間支出額は平均212ドルだが、一方日本人はと言えばこれが462ドルに跳ね上がる。日本人ゴルファーの総数は800万人、つまり全体で3860億円もの売り上げに貢献している計算になる。日米に続き第3位にランクインする韓国の市場占有率はわずか6%に過ぎない。また「大国」中国に至っては市場の2.6%を占めるに止まっており、この数字を見る限り彼らはまだ本番ラウンドに向けた「練習」段階にあるようだ。

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