ジョギング――「クール(走れ)・ジャポン(日本)」、走れ!

ジョギング、「走れクール・日本ジャポン」、走れ!あまり知られていない日本人のランニング熱

持久力
アダーナン・フィン氏は、日本人のランニング熱について語った著作『駅伝マン、日本を走ったイギリス人(The way of the runner)』の中で、日本と英国のハーフマラソンのタイムを面白い観点から比較している。日本で100位だった選手のタイムが、この年の英国1位の選手よりも速かったというのだ! この逸話は日本人のランニングに対する入れ込みようを雄弁に物語っている。皇居の周りを走るジョギングランナー、九州の海岸1000キロを駆け抜ける人々、そして正月の風物詩でもある2日間のリレー競争「箱根駅伝」の選手など、この競技は日本人の日常生活にしっかり溶け込んでいる。日本人は走ることに適した体つきを有しているようだ。アダーナン・フィン氏によると、体重が軽く中程度の上背を有する日本人の体型は、利点こそあれデメリットは何もないのだという。駅伝に求められる根気や努力、実直さ、さらには規則性といった特質は、メディアでもしばしば言及されるところである。長距離走は小学校から大学、チームで、そして企業などでも実践されており、完璧な指導体系が整っている。

挽回
走ることにひたむきな選手がいる。「市民ランナー」川内優輝は企業のロゴを身にまとって走らず、スポンサーや金銭的な見返りなしで日本マラソン界におけるトップランナーの座を維持し続けている(日本記録第22位)。村上春樹の『走ることについて語るときに僕の語ること』など、走ることをテーマに書かれた本もある。このようなランニング人気を受け、日本は世界の巨大ランニングシューズ市場において米国、ドイツに次ぐ第3位にランクインする。日本は、同業界の主要イノベーターとしてアディダスやナイキと並び称されるミズノやアシックスが誕生した国でもある。日本におけるランニング熱の歴史は長い。「1965年には、世界のランナーのトップ10は全て日本人でした」とフィン氏。アフリカや欧米の選手が巻き返してきたのはつい最近のことだが、彼らはなかなか手強い。世界記録上位10位のうち実に8人がケニア人である。著者によると(また同じ考えの日本人ランナーも次第に増えつつあるが)、日本のレースとそのトレーニング方法はあまりに厳し過ぎるため、選手を育てるよりも先に壊してしまうというのだ。確かに日本は非常に優れた選手を多数輩出しているが(日本のマラソン選手上位157人の持ちタイムが2時間10分を切るが、フランスでは第1位の選手でもせいぜい2時間15分台)、さらに先を行く選手を捉える前に力尽きてしまうのである。

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