テニス、勝者の腹活

テニス、勝者の復活

世界的テニスプレーヤー、錦織圭の活躍を受け、日本で再燃するテニス人気。ただし先行きには不透明感も。

再生
1970年代、テニスは日本で特に人気の高いスポーツだったが、その後すっかり鳴りをひそめてしまった。2013年の人気スポーツ調査では、集計の対象外に追いやられたほどである。ところが2015年、テニスはサッカーに次ぐ日本人の好きなスポーツ第3位に返り咲く。関連用品の年間売上は550億円に達し、スポーツ用品市場全体の4%を占めた。その理由はもちろん、錦織圭の存在だ。ATP世界ランキング第4位(当時)のカリスマプレイヤーの活躍に、今や日本中が湧く。錦織以前の日本人プレイヤーで唯一世界を相手に戦う実力を備えていたのは松岡修造だが、その松岡でさえランキング最高位は46位だった(1995年)。今や押しも押されもせぬ大スターとなった錦織は、日清や、ユニクロ(衣料)、エアウィーヴ(寝具)、ジャガー(自動車)など19社のCMに起用されている。

活気はいまひとつ
華々しくメディアへの回帰を果たしたテニスだが、他のスポーツに比べてお金がかかることやサッカー人気の影響などもあり、その先行きは不透明だ。ラコステ・ジャパン社長のディーター・ハーベル氏は「日本では、シングルスよりダブルスでプレイする人のほうが多いですね。今後はテレビでも、ダブルスが注目されるようになると思います」と述べる。今ではテニスのチャンピオンを夢見る若者も出てきた。それでもやはり連盟の内部からは不安の声が聞かれる。ここ10年間で競技人口は420万人から370万人に減少(週に1度テニスをする日本人は100万人)しており、テニスコートも20年間で3分の1以上が消滅した。人口高齢化の影響もあるとはいえ、関係者の見込み違いだった感は否めない。とは言うものの外国の大手ブランドは日本を非常に重要な市場と捉えており、ラコステの成功などにも見られるようにその占有率拡大を虎視眈々と狙っているようだ。バボラ社のアジア=パシフィック・セールス&マーケティングディレクター ギレム・ロジェ氏は、「弊社にとって日本は、米国、フランスに次いで3番目の市場です。中国や韓国、オーストリアはまだ遠く及びません。」と言う。バボラは、最新のイノベーション技術を導入したラケットやシューズを日本人テニスプレーヤーに提供している。

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