デパートは企画開発力の時代

バブルは終わり、再び、創意工夫の時代へ

落ち込みは止まった
大型百貨店は、自らの道を歩み、優雅な姿を保ちつつ「生き残った」。1991年の業界全体の売上額は12兆円で、日本の流通業界の8.3%を占めていた。今日その割合は4%まで下がり、売上額も半減した。それでも尚、デパートは高級ブランドの拠り所となっているのが実状だ。「インショップのオーナーたちは、皆デパートから出たいと思っているが、どこに行けばいいのか。実際に、店を開いたオーナーたちは、顧客を引き付けるのに苦労している」と、大手ブランド幹部は語る。
大手デパートは、顧客の興味を引くために、イベントを増やし、内装を一新し、収入源を多角化している。こうして、今日、高島屋の営業利益の半分は、もはや店内での販売からではなく、不動産業や消費者ローンによるものである。

観光客への期待
観光客は、この業界の救世主になっているのだろうか。「池袋では、数か月前から観光客が売上の2割を占めていると言われている」と、業界関係者は語る。銀座では、中国人がブランド品を奪い合っているが、偽造品を買っていないことは確かだ。中国人は、特に宝石、ハンドバッグ、化粧品に「飢えている。」彼等は、自分のためだけに買うのではない。調査会社CLSA(Credit Lyonnais Securities Asia)が行った調査レポートによると、中国人観光客は平均2.7人分のお土産を持ち帰っているが、免税店での販売額だけを見ると、この「中国人ラッシュ」は、それほどではない。外国人観光客向けの販売額は、日本のデパートの売上高の平均1%を占めるに過ぎないのだ。あらゆるガイドブックに登場する非常に有名なデパートだけが、外国人観光客からの恩恵に浴しているのである。

反応
そして、デパートが「まだ手をつけていない」がある。どのデパートも、今後数年間のオンライン計画(P.62の記事「みんなでオンライン」を参照)を発表しているが、この分野に関する戦略的ビジョンを全く有していない。デパートは、その国際的な知名度にもかかわらず、自国から出ていない。三越伊勢丹や高島屋の海外での売上は、そのグループの売上全体の5%に過ぎない。

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