ワイン : 外国ワインで溺れるフランス

フランス産ワイン、日本市場でチリ産ワインに後れを取る。心配はないのか?

不出来
2015年 、日本市場におけるフランス産ワインの売上は、歴史的な不出来を記録。日本のワイン市場は初めて、フランス産よりもチリ産をより好んだのであった。チリ産ワインの輸入は、10年前の5位からトップクラスに上昇。この間日本のチリ産ワイン輸入量は6.4倍になったが、フランス産はなんと6.5%(!)も減少し、マスコミを賑わせた。NHKは、ゴールデンタイムに長い時間を割いてこのニュースを報道している。チリワインの人気上昇はその品質向上もさることながら、日本とチリが2007年に交わし、チリ産品に対する関税の92%を撤廃することとなった自由貿易協定もその要因にある。これにより、チリ産ワイン、とりわけ安価なテーブルワイン(日本市場の80%を占める)の、フランス産ワインに対する競争力が向上した。フランスのワイン生産者は、ブリュッセルと東京との自由貿易協定交渉が何年も進展していないことに苛立っている。

攻撃的ビジネス
あるフランス人輸入業者によると「チリ人のビジネスは非常に攻撃的で、大量のワインをばら積みで輸入して現地で瓶詰めを行っている」。輸入されたチリ産ワインの21%が日本で、とりわけワイン産地である山梨県にて瓶詰めされている。この業者は「フランス産ワインは価格では勝負できないため、品質と、フランス産ワインの物語性(Storytelling)を前面に打ち出して戦っている」と語る。この国のコンビニエンス・ストアで500円(で購入できるワインは、そのほとんどがチリ産である。現在フランスワインの平均価格が1029円であるのに対し、チリ産は602円と太刀打ちできない状況だ。ただし、フランスワインに打撃を与えたのはチリワインばかりではない。この10年間でフランス産の輸入量は減少したが、スペイン産は増加しており、またイタリア産は10年前の水準を維持している。唯一フランスの高級ワインは、チリワインの攻勢にびくともしていない。こと高級ワインに関しては、フランスワインに対する信頼は絶大である。「この点についてはフランスワインの独走態勢は揺るぎないだろう」と輸入会社Millesimes社長のErnie Singer氏は考えている。

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