ヴィラの未来に乾杯!

ヴィラ九条山が装いも新たに生まれ変わる。イタリアはヴィラ・メディチの日本版とも言えるこの施設が京都郊外にオープンしたのは1992年のこと。20年来、あらゆる分野のフランス人アーティスト(作家ジャン=フィリップ・トゥーサン、写真家アントワーヌ・ダガタ等々……)を数ヶ月単位で迎え入れ、フランスの文化施設として重要な役割を果たしてきた。ベールに包まれたそのあり方に批判的な見方も出るなど、かねてより「眠れる美女」的な扱いを受けてきた同施設だが、今回の運営形態刷新により資金調達コストが削減され、透明性も高まることになるだろう。
ヴィラ九条山は従来通りレジデント・アーティストの受け入れを継続するが、今後は工芸職人など新たな分野にもその門戸が開かれる(今年度受入予定のレジデント23名の中には金メッキ工と金属旋盤工各1名が含まれる)。また今回から、同一プロジェクトに共同で取り組む日仏アーティストを2人1組で受け入れるなど、独自の路線も打ち出している。さらに今後は民間のスポンサー企業や大学等に資金提供や事業計画策定への参画を呼びかけていく予定だ。こうした財政面における思惑は、アンスティチュ・フランセ・パリ本部理事長、グザヴィエ・ダルコス氏の声明の中にも透けて見える。「アジア最大の対仏投資国であり、またフランスにとってはアジア最大の対外投資国である日本。この地に迎えられるヴィラ九条山は、今後の日仏関係を築く上で非常に重要な役割を担っています」同施設の紹介パンフレットには、ヴィラ九条山滞在中に制作された作品の公開に力を入れていくというアンスティチュ・フランセの方針が示されている。

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