世界は日本を必要としている

ジャン=ミシェル・セール氏:「世界は日本を必要としている 」

仏オレンジ社が日本の有望なスタートアップを発掘し、その支援を行うようになって5年。同社東京支店の代表に聞いた。

日本のスタートアップに見られる特殊性とは?
日本の現状はスタートアップにとって必ずしも有利なものとは言えません。フランスにも言えることですが、日本はいわば大企業グループが幅を利かす国で、こうしたグループが多くの資金や人材を吸い上げています。しかし創設間もない企業の中にも質の高いスタートアップは数多く存在します。日本のスタートアップの特徴としてその存続率の高さが挙げられますが、実際ほとんどの会社が3年と言われる峠を越えています。

御社では(支援する)スタートアップをどのように選別しているのでしょうか?
弊社では年間概ね10社のスタートアップに対し支援を行っています。まだ設立間もない企業や、単に良いアイデアを持っているだけの企業は対象になりません。採用されるのは既に独自の製品やサービスを開発し、スタッフと同時にある程度の顧客も確保できていることに加え、世界的な展開を見据えている企業です。特に最後のポイントはとても重要で、その重要性に気づいていない人も多いようです。まずは日本市場に集中して将来的に国際的な展開を見据えるというよりは、むしろ世界規模の市場からスタートし、その後日本市場の特殊性に合わせていく方が良いでしょう。日本市場というのは、ある意味罠のようなものです。市場規模が非常に大きいため長期にわたり問題なく経営を続けられますが、実際には勢いを失っていることに気付かないのです。

日本の強みとは?
日本の強みは、鍵となる一部のセクターに多額の投資を行うことができる点ですね。これにより例えばiPhoneの部品に極めて高い付加価値をプラスする、そんなことが可能となります。世界は、革新的な製品を作るために、日本を必要としているのです。

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