会員の動き

経験値が高い男、ピエール・エルメ

ピエール・エルメ社は15年前、日本で誕生した。創立者ピエール・エルメ氏は当時、かつてないほど何かに飢えていた。後に、それが経験値だと知る。

日本、フランス、それ以外の国。最も仕事をしやすい国は?
今までの我々の経験を比較するのは、簡単ではありません。先日、東京で15周年記念のVIPパーティーを行いましたが、何もかも完ぺきな出来でした。それは、日本に全てに手慣れた私のスタッフたちがいるからです。その後、香港でも新店舗のオープニングパーティーを開きましたが、その時のスタッフはたった3ヶ月前に雇用された従業員たちばかりでした。もちろん全く経験がないわけですから、同じようには事が運びません。失敗から学ぶことも大切です。「継続的に改善していく」ことが、我々が共有する価値観の一部であり、この考え方が我々を前進させてくれています。

グローバルでスタッフを管理する方法は?雇用は難しい?
製造スタッフはフランスで見つけます。パティシエを学ぶために我々のパリの店を訪れる者は、何のために自分がフランスにいるのかわかっている人間だからです。一番難しいのは販売スタッフの雇用で、我々が最も力を入れています。我々が企業として成長していくにつれ、新しいスタッフにも様々なキャリアップの機会を与えたいと考えています。 さらにグーグルアップスのような新しいITツールを導入することで、グローバルで社員教育を統一し、調和を図っています。私がケーキを一つ作ると、ビデオを使ってグループの全社員とその作り方を共有することが出来るのです。また我々の経験から改良を繰り返し作られたトレーニング・マニュアルも存在します。
常にリニューアルされるコレクション(商品群)が、ピエール・エルメの成功の理由の一つだと言われています。他の製造業で見られる新商品の投入の早さに影響を受けていますか?
そうは思いません。ガレット・デ・ロワ、バレンタイン、イースター、母の日、ホワイト・デーなどいわゆる「年間行事」があるのは、他の業界と同じです。それ以外で弊社は、もう少し短期間で商品を作り上げます。マカロンのレパートリーを増やすため、毎月新しい味のマカロンを発売しています。さらに毎年、テーマを決めています。昨年は「イリュージョン」、今年は「人生は素晴らしい」です。

日本人がマカロンに飽きる日が来る?
時に日本人は一つの商品に突然熱中し、また熱が冷めるのも早いと言われています。我々が起業したころ、日本でクイニーアマンが爆発的に流行りました。しかし、マカロンは飽きの対象には成り得ません。マカロンはフランス菓子の遺産の一つであり、流行よりもむしろ我々の職業の一部だからです。流行を追うのではなく、我々がマカロンの新しい流行を作り出す努力をしています。

ローカル市場に適応する努力は必要か?
日本では当初、日本人のために自社製品をアレンジするべきか周辺の人々に聞いてまわりました。その結果、「ケーキに入れる砂糖の量を減らすべき」や、「日本で定番イチゴのショートケーキをメニューに入れるべき」など数え切れないアドバイスを頂きました。最終的に我々は、日本人の顧客が我々に求めているのは「本物さ」であり、日本人のためにアレンジする必要などないことに気づきました。日本人は、オリジナル商品を求めているのです。

日本での起業は、有利に働いた?
日本が我々に与えたものは、素晴らしい「要求」です。日本人消費者は、フランス人より商品を見る目が厳しく、我々をやる気にさせました。日本には 1950年代に最初の仏人パティシエが来日しており、日本のフランス菓子のレベルは既に高水準に達しています。ある日女性のお客様から、雑誌に載っていた写真よりタルトのイチゴの数が少ないのではという意見を頂いたのを覚えています。また、弊社のミルフィーユが新聞に掲載されることになり、カメラマンの要望でミルフィーユにパイ生地を足したことがありましたが、お客様からすぐご指摘を受けました...

日本とフランス、店をオープンするのはどちらが簡単?
日本は、フランスと異なり「営業権」という概念がなく、そのための費用がかからないので短期的には安価で開業できます。しかし、フランスで長期的にビジネスが成功すると営業権に価値が生まれます。営業権は、起業価値にも繋がり、銀行との交渉でも非常に重要になります。

この業界で、高級ブランドの定義とは?
我々の仕事は、経験値だと思います。それは展示方法、商品の説明や歴史、もてなし方、顧客との交流のなかに存在します。この経験値の考え方は、我々が他企業とコラボレーションを行う理由でもあります。例えば、我々が他のブランドといっしょにチョコレートでできた自動車を作ったとしても、その自動車は売れるでしょう。何故なら、背後には歴史や経験があるからです。我々はこうやって違いを生み出したいと考えています。これは、単なるライセンスの販売ではなく、我々のパートナーとの共通のコミュニケーション手段なのです。

日本とフランス、銀行の融資を受けるのが難しいのは?
銀行なんて、どこも難しいです!

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ダットサンがガレージから姿を見せた!
新興国出身で、若く野心に溢れたあなたにぴったりのモデル「GO」。日産が復活を宣言したブランド「ダットサン」は、「ニューエコノミー」が普及する新興国のドライバーをターゲットに開発された。インド・ニューデリーでの発表会でお披露目された「GO」モデルは、2014年からインド、インドネシア、ロシア、そして南アフリカの市場に投入される。この5ドア車の価格は40万ルピー(4,736ユーロ)足らずである。先日、在日フランス商工会議所にて開催された講演会で、ダットサン復活の指揮にあたったヴァンサン・コベ氏が今回のチャレンジについて熱弁をふるった。コベ氏は人口の多い新興国市場が経済的な成熟を迎えつつあることに触れ、以下のように述べた。「今、世界の自動車市場は大きな変革の時を迎えています。これまで業界トップだったメーカーが業績不振に苦しむなど、状況は5年間ですっかり変化してしまいました。需要について言えば、最近まで世界需要の80%を占めていた従来の3大市場(北米、日本、欧州)から、非常に多くの人口を抱える新たな国々(インド、中国、インドネシア、ブラジル、アフリカ、ラテンアメリカ、ASEAN諸国)への急速なシフトが起きています。これら新市場の消費者数は25~30億人と言われ、地球人口の実に半数近い数字ですが、それまで自動車産業がこれらの国に目を向けることはありませんでした。これらの国々では、経済の発展により消費者の所得が人生初の自家用車を持つのに十分なレベル(国民1人あたりGNPが約5,000ドル)に達しています。」つまり、現在の状況はダットサンにとってかつてない大きなチャンスなのだ。「日産は世界中の市場をカバーしていますが、新興国市場向け戦略となると低価格設定という難題や、消費者の好みが国により大きく異なることなど高いハードルがあります。例えばロシアでは寒さに強くスピードの出るセダン車が好まれ、インドネシア人は大家族を乗せられる大きくて、かつ速くシンプルなスタイルの車を好みます。またインドで重要視されるのは車のモダンさ、車高、燃費、街中での小回りの良さなどです。これら各国の消費者はもはや外国で開発された車を『関税』を払って買い求めなくてもよいのです。そこにダットサンがあるのですから!」
現在ルノー・日産アライアンスのインド市場のシェアは3.3%だが、今年は5%、中期的には15%という数字目標を掲げている。

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あなたのエンジンに日本製部品を
エアバスが日本のサプライヤーとの関係を強めている。同社は、先日A350旅客機のエンジン向けベアリングを日本のNTNグループに発注した。日本経済新聞の報道によれば、初回納入額は5億円相当に上る。三重県桑名市の工場とNTN-SNRのアルゴネ工場で生産されるこのベアリングは、エアバス機に搭載されるロールス・ロイス社製エンジンの部品として組み込まれる。NTNの売上高の主要部分を占めるのは自動車部門だが、今後は航空機部門にも徐々に事業を拡大していきたいとの意向だ。同社では、航空機部門における売り上げを今後5年間で50%引き上げる目標を掲げている。

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NTTコミュニケーションズ、仏アルカディン社を買収
通信事業者NTTコミュニケーションズは、クラウドサービス(音声、ウェブ、ビデオ会議等)世界3位の仏アルカディン・グループの株式91.2%を取得した。アルカディン社はフランス、ドイツ、英国、米国、オーストラリア、中国、シンガポール、日本など、世界32か国の顧客約37,000社にサービスを提供している。2012年のアクサ・プライベート・エクイティ社の資本参入以来、アルカディン社の売上は2桁台の成長を遂げてきた。「業界で最も勢いのある企業の買収は、世界中のパートナーやお客様向けにコラボレーションサービスの充実を図るという、NTTの意気込みを改めて表明するものです」と述べるのは、同社ボイス&ビデオコミュニケーションサービス部長の丸岡亨氏。「アルカディン社の有する世界規模のインフラや顧客サービスの質を考慮すれば、音声・ビデオ会議のみならずユニファイド・コミュニケーション分野においても、当社のソリューション提供能力が強化されるものと期待しています。」今回の買収に関与したある弁護士は、「アルカディン社のテクノロジーは、日本側関係者に強烈な印象を与えたようです。これほど進歩した技術には米国でもお目にかかったことがないと話していました」と述べている。

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アシェット・コレクションズ、10年の豊かな歩み
仏出版社アシェット・コレクションズが日本で創立10周年を迎える。同社は、主に書店で販売される、DVDシリーズやミニチュアカーといった収集を目的としたアイテムが付属した分冊百科シリーズを展開している。これは実にヨーロッパ的なビジネスモデルだが、大手流通会社であるトーハンや日販との流通合意、また日本文化に特化したコンテンツの制作など、現地の実情に合わせたきめ細かな対応で日本市場への浸透に成功した。例えば43分の1スケールの日本車コレクション『国産名車コレクション』の累計売上部数は、2006年の創刊以来実に300万部に達する勢いだ。漫画の描き方指南書として2008年に創刊された『まんがの達人』は45万部を売り上げた。2013年末までの10年間で創刊したコレクションは、実に25種類を超える。

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グランドハイアット、開業10周年!

2013年で節目の10周年を迎えたグランドハイアット東京。日本上陸からこれまでの軌跡をクリストフ・ローヴォ総支配人に伺った。

ローヴォ氏は今年で来日から4年目と伺いましたが、2013年はどうして特別な年なのですか?
リーマンショックと金融危機直後の2009年に私が来日した時は、ちょうど東京に新しいホテルのオープンの波が押し寄せている時期でもありました。その後、2011年3月11日の震災という困難な時期を経験しましたが、無事乗り切ることができました。レストランは、震災前よりも今のほうが活気があります。今年開業10周年を迎えるにあたり、全客室をリニューアルし、その他の設備も改修しました。また、表には見えない仕事の裏舞台をお見せしたく、250人の全スタッフが参加する「Love」をテーマにしたビデオを作成しました 。

御ホテルでは、独自のイベントを手掛けておられますね?
大海に飲み込まれたくなければ、差別化を図らなければなりません。今日、消費者は世界的なブランドに対して、もはやその製品にではなく、その製品から得られる体験を求めています。ところが、どのホテルチェーンもこのレベルに到達していません。世界のトップ100ブランドの中に、ホテルブランドはひとつもありません。差別化を図る方法は、お客様ひとりひとりと強い「絆」を築くことだと考えています。インターネットの普及により人との関係が希薄になっている中で、これこそホテル業界においてますます重要になっています。そこで我々は、グランドハイアットアカデミー(料理教室、フラワーアート、ヨガなど)をスタートしました。

顧客との「絆」を維持する方法とは?
色んな技術を、どんどん取り入れています。例えば、お客様のご希望に合った室温に調節したり、冷蔵庫にお好みのワインを用意したり、部屋をご自身のアトリエのように使っていただくなどきりがありません。また、近年増加しているビジネスで利用される女性のお客様のために、女性向けサービスもスタートしました。滞在中女性の客室係がお部屋までご案内したり、ハイクラスのボディーケア製品をご用意したり、ルームサービスに軽くてヘルシーな料理を提案しています。

今後の展望は?
明るい見通しの要素が多いです。日本への観光客の数は増加傾向です。世界経済は回復し、為替は円安傾向です。東南アジアのタイ、マレーシアでは、日本滞在のビザの取得手続きが緩和されているのもプラスです。今後10年の取り組みですが、全体のレイアウトや技術、空間の見直しなど、サービスの幅を更に広げていくつもりです。我々は、革新的かつ国際的でありながら、一方でローカルでなければならず、これからもスタッフの声に耳を傾ける必要があると考えています。

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