価格協定の手痛い代償

自動車業界の価格カルテルに対し、相次いで司法の厳しい判断が下される。そのターゲットは日本企業だけでなく、欧米の部品サプライヤーも。

世界規模の大作戦
「カルテル」――自動車部品に関して言えば、この語が使用されることは恐らくもうないだろう。2011年以降、自動車産業界の価格協定に対し、欧米や日本の司法当局は揃って先例のない努力を傾注している。この世界規模の大作戦で一斉摘発されたのはまず日本企業、次いで欧州系企業だった。多くの場合自社製品の市場が寡占状態にあるこれら企業は、互いの価格を明かしてマージンを確保し、生産ラインを順調に維持することが得策と考えてきた。こうした慣習が違法とみなされるのは、自動車の最終価格を人為的に吊り上げ、結果として消費者を欺くことになると考えられてきたからだ。北米でこの種の不正行為が露見すると、先進各国の司法当局はこれを元に手持ちの情報の裏付けを進め、各国に展開する部品メーカーが同時に摘発される事態となった。

見せしめの刑
非常に重い制裁が科されることもある。サプライヤーは巨額の罰金を支払わされるだけでなく、価格協定の事実を認めた幹部社員が米司法省の命令で米国内刑務所に送致されるケースもあった。例えば矢崎総業は4億7千万米ドルの罰金刑に加え、その幹部4人に対し15ヵ月から2年の禁固刑を科された。
3月には欧州委員会が初めての制裁を科した。サプライヤー5社に対し、価格協定を行ったかどで9億5千3百万ユーロの罰金刑が申し渡されたのである。欧州委員会で訴訟手続きを担当したホアキン・アルムニア競争担当委員は、さらなる制裁が下されるだろうと明言している。
告発された各企業は、今のところ罰金刑や禁固刑を甘受しているように見える。ジャーナリストやアナリストもこうした司法決定にさしたる関心を示していない。日本のある部品サプライヤー社長はこう述べている。「我々にとって罰金は、それが巨額であっても会社の特別損失としてやり過ごすべきものです。罰金によって当社事業の持続性が損なわれることはありません。そもそも司法当局は4年前に廃止された慣習を今になって処罰しているのです。この問題は誰にとってももはや終わったことなのです」

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