女性は社会で活躍できるか

女性の社会進出が遅れる日本

女性の解放を
安倍首相は女性解放の救世主となるのだろうか? 女性の積極的な起用は、安倍政権が掲げる主要政策のひとつだ。 首相は、景気低迷の一因が女性の雇用が遅れているからだとし、女性が出産後も仕事を続けられるように保育園の待機児童を大幅に削減することを約束し、企業には抜本的な組織の見直しを求めた。

具体的には、女性が占める管理職の割合を現在の10%から2020年までに30%にする目標を定めた。既に、行動にうつす企業も現れた。コンビニエンスストアのローソンは、管理職を目指す女性の中途採用を増やすと発表した。しかしながら、大半の企業は明らかに関心を示していない。経団連は、会員企業1300社に対し、この件に前向きな対応を求めたが、結果の公表までは要求していない。365社のみがアンケートに回答し、そのうち211社が数値目標を掲げている。サービス業(銀行、保険、流通)は比較的この提案にオープンな態度を示す一方、労働分野の産業、特に建設などの肉体労働系の産業は、何かと理由をつけて後回しにしている。


男性側の問題
女性の労働力が注目されるのは、まず第一に男性側の問題を見る必要がある。人口減少により、2020年までに日本は男性の労働人口が260万人減少する一方、女性は80万人しか減少しないと言われている。女性を取り込むことで、企業は労働力不足の影響を軽減できるだろう。しかし、女性にとって働くことへの展望はそれほど明るいものではない。週刊誌「アエラ」の最近の記事によると、この「解放」にはおまけの負荷がついてくる。雇用問題の裏に社会全体の問題が隠れているという。日本の企業は、社員に対し、男性にも女性にも、雇用の安定と引き換えに長時間勤務や突然の人事異動等、多くの負担を強いている。こういった会社への奉仕労働は、仕事以外にも家事労働への奉仕がある女性にはさらに苛酷である。日本の母親は、分刻みの時間管理を余儀なくされる。早朝から子供の夜の塾用弁当作り、PTAの会合への参加、子供の登下校時の横断歩道の見守り、さらには老いた両親の介護。仕事と主婦業という二つの重い役割のうち、女性はキャリアを選び母親になることは諦めるか、主婦業を優先し母親業と家計の足しになるようなパートタイムを組み合わせるのどちらかを選ぶことになる。 


産みの苦しみ
大多数の日本企業は、このような状況を認めており、男性と女性の役割の違いを少なからず制度化している。例えば、女性には採用時から、総合職よりも拘束が少ない代わりに、給料が安く、将来性のない一般職を薦める。総合職は、幹部になる意欲がある人、通常は男性向けの職種である。政府が実施した調査によれば、入社10年後には65%の女性は退職しており、残る22%は何の責任も負わない仕事に就いている。この職種別採用について、安倍内閣はまったく問題視していない。この問題こそ、日本の労働における根本的な改革を妨げ、女性を二次的な仕事に追いやるか、「母親業」を放棄せざるを得ない状況に追い込んでいるのは明らかだ。モルガンスタンレーのロバート・フェルドマン氏はこう言い放つ。「労働改革について、アベノミクスはまだ何も着手していない。」

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